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マクドでマクロ [ちょっとまじめな話]

いや、これはすごい。きっと今から大きなパラダイムシフトが起こるに違いない。
何の話かって?それは、今日のマクドのニュースリリース。
あまりに衝撃的だったので、他に書こうとしてたことがあるけれどそれは次回に。

で、どんなニュースかというと、「マクドナルド地域別料金導入へ」というもの。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070612-00000018-mai-bus_all

単純にいうと、土地代や人件費が高い東京はメニューの料金を上げ、逆に地方は下げるというもの。
これを機に、小売業の世界は大きく変わっていくだろう。

まず考えられることは、いわゆる“卸”の存在価値の変化だ。
そもそも卸は、メーカーがすべてフォローしきれない小売店に対して中間的なハブの役割を担うものであり、その目的はサービスの均質化であるはずだ。
それが、もうこれからは地域別、収支別にサービス(価格もサービスの一部と考えると)自体が異なっていくとなると、そもそもの存在意義が大きく変わる。
変化に対応できない卸は、ビジネスを続けることができないだろう。

こういった流通チャネルが大きく変わるきっかけは、おそらく2つあるのではと思う。
一つは、規制の変化。
たとえば製薬業界では、平成3年頃までは、メーカーと卸と医療機関の間で何度も仕入れ値引きが恒常的に行われ、結果として本来公定価である薬の価格からは生じないはずである薬価差が生まれ、しかもそれが病院の大きな収益源となっていた。
それが、新仕切価制の導入で大きく流通改善が行われ、それ以後はメーカーのMRが情報提供・収集に専念し、卸のMS(Medical Marketing Specialist)が医療機関との価格交渉を一任することとなった。
そしてもう一つが、業界のリーディングカンパニーが自ら業界秩序の改革に乗り出すという、今回のようなパターン。
これは、競争戦略の観点からも、リーダー企業が取りうる最もチャレンジングで最も後発企業にとってはダメージの大きい戦略ではないかと思う。
普通、このような流通改革を起こすのは業界内外の非リーダー企業である場合が多い。
たとえば、文房具の世界でのアスクル。たとえば、PC業界のDELL。
それぞれソリューションはダイレクト販売という手法であったが、それによって先発企業の持っている小売店・卸・販売店といったチャネルを一気に資産から負債へ変え去ってしまった。
この競争戦略については、山田英夫の理論を踏まえて近いうちに色々書いてみたい。

今回のマクドの決断は、完全にファーストフード業界のリーダー企業であるマクド自身が自ら業界秩序を打ち破ったというところにあるのではないだろうか。

どこでも同じサービス、同じ価格。
それは、日本人が何の疑問もなく持っている共通認識ではないだろうか。
恐らく、社会保障制度による影響が大きいと僕は思う。
東京のど真ん中でも、北海道の最北端でも、受けられる公的サービスに基本的な差がないというのが日本の公的保障の根底にある考え方だ(どこでも、だれでも、いつでも)。
そして、サービスの質と価格が一定だからこそ、地域を超えた所得再配分機能が期待できる。
しかし、収支が合わないところは価格を上げて、儲かっている地域はもっと価格を下げる(もしくはサービスを充実させる)ということが当たり前になってくると、いかに生活に影響があるのかが容易に想像できる。

そして、今回の価格調整幅を見ても、面白いことが想像できる。
まあこれは連想ゲームのようなものだが、結構こんなことをぼーっと考えていると通勤電車も楽しかったりする。

今回の記事でのマクドの価格調整幅は500円のセット価格で50円程度になるとのこと。
つまり、±10%ということ。
極端な話、外食産業全部がこの地域価格制に移行すると仮定すると、マクロ経済的にはどの程度のインパクトがあるのだろう。

まず、日本の外食産業の市場規模は確か約30兆円。
で、日本のGDPは現在約500兆円。
確か税収がそのうち約10%なので、50兆円。
税収のうち20%が消費税なので、消費税の総額は10兆円。
日本の国債発行額は約30兆円。

すると、外食産業が全部地域価格制に移行すると、±で20%の価格幅ができるということになり、30兆円×20%=6兆円、消費税の半分強のインパクト、つまり5%が7~8%になるのと一緒くらいのインパクトがあることになる。
こりゃ大変だ。
で、消費税の3倍はちょうど国債発行額と同じになる。
ということは、±10%なので価格を上げるところだけ国債発行額の穴埋めに充てると、約半分をカバーできることになるんだな。

で、もし自分が税に関する全てを決められる権限があったとしたら、まず全国で基準価格を設けて、それよりも高く設定した価格に対しては差額の50%を地域価格差調整税として徴収できるとすれば、外食産業だけで国債発行額の25%を埋められるかもしれないわけだ。
おー、これって結構いい政策じゃないの?だって価格が上がるのは大都市だから、地方は痛まないし。

と、とりとめもなく書いてしまったが、よくこんなことを歩きながら考えてたりする。
妻には「はい、ぼーーーっと歩かない!」っていっつも怒られるんだが・・・。
ただ、こういったマクロな視点はマーケティングとしては絶対に必須で、しかも日々積極的に考えようとしなければ身につけられない感覚だと思う。
大観をもって、数字を作れるセンス、そういうのを磨きたいなあ。

で、全然関係ないが、パリと言えばいつもこれを思い出してしまう。
高校時代に見て以来、パリ=これになっちゃってるんだな。
空耳アワー、最高。
↓↓↓
http://www.youtube.com/watch?v=mTs3R7K2xfQ&mode=related&search=


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