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金融系小説総括 [ちょっとまじめな話]

ここ3週間程、家にいる時は読書に時間を充てることが多かった。
主に読んでいたのは金融系の小説。

久々に読後感想でも書いてみようかな。



金融腐蝕列島 (上) (角川文庫)

金融腐蝕列島 (上) (角川文庫)

  • 作者: 高杉 良
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1997/12
  • メディア: 文庫



金融腐蝕列島 (下) (角川文庫)

金融腐蝕列島 (下) (角川文庫)

  • 作者: 高杉 良
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1997/12
  • メディア: 文庫



呪縛〈上〉―金融腐蝕列島2 (角川文庫)

呪縛〈上〉―金融腐蝕列島2 (角川文庫)

  • 作者: 高杉 良
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2000/10
  • メディア: 文庫



呪縛〈下〉―金融腐蝕列島2 (角川文庫)

呪縛〈下〉―金融腐蝕列島2 (角川文庫)

  • 作者: 高杉 良
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2000/10
  • メディア: 文庫



小説 ザ・外資 (光文社文庫)

小説 ザ・外資 (光文社文庫)

  • 作者: 高杉 良
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2007/11/08
  • メディア: 文庫



腐蝕生保 上巻

腐蝕生保 上巻

  • 作者: 高杉 良
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/11/14
  • メディア: 単行本



腐蝕生保 下巻

腐蝕生保 下巻

  • 作者: 高杉 良
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/11/14
  • メディア: 単行本



ハゲタカ(上) (講談社文庫)

ハゲタカ(上) (講談社文庫)

  • 作者: 真山 仁
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/03/15
  • メディア: 文庫



ハゲタカ(下) (講談社文庫)

ハゲタカ(下) (講談社文庫)

  • 作者: 真山 仁
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/03/15
  • メディア: 文庫


高杉良の小説だが、金融腐蝕列島の上巻くらいまではおもしろかったのだが、正直全体的には食い足りない感が強い。
結局ストーリー展開としてはバブル崩壊や銀行・生保の内部の問題を背景に権力闘争や内部スキャンダルに主人公が立ち向かっていくというケースが多いのだが、肝心の金融機関の業務への踏み込みが浅いのだ。
一般的に読まれる小説であればこの程度でもよいのかもしれないが、金融機関に勤める身としてはいささか不十分な感は否めない。
それ以前に、話のほとんどは内部権力闘争に対抗する策の奔走に関するものであり、トレンディドラマで全員が恋愛ばっかりしていていて「それ以前に仕事せーよ!」と突っ込みたくなるのと同じ感想だ。
映画の評判が高かったのは覚えているが、それほどかな?というのが正直な感想だった。
ちょっと客観的な取材不足と、金融機関ならではの業務の小説への落とし込みが甘いんじゃないかな。
この内容であれば、舞台が銀行や生保である必要はなく、大手メーカーということにしてもあまり変わりがなかったのでは?と思えたのが残念なところだ。

そうはいっても7冊ほど一気に読んだわけなので、読み物としては悪いわけではないけど。

それと比べると、真山仁のハゲタカは面白かった。
上巻はインド行の飛行機の中で少しだけ読もうと思って読み始めたら、気づけば一気に読破してしまっていた。
おかげで機内でやるはずだった仕事の一部が未着手のままバンガロール着となってしまったけど・・・。

この面白さの元は上に書いた高杉良の本の寸評の裏返しであり、外資系ファンド・投資銀行ならではの業務内容と人間関係の描写のバランスが絶妙なのだ。
ストーリーの中では、本編に密接しながら実際に起きた金融関係の事件がうまく取り入れられており、取材力とストーリー構成力には感心させられた。

上記に上げたうちの何冊かは、いわゆる外資系企業の功罪に関する小説なわけだが、大学卒業以来結局ずっと外資で働いている自分の環境と置き換えると色々思うところがあった。
ただ、一つ言えるのは、外資系企業にもpros/consはたくさんあるが、マイナスイメージに繋がる多くの問題点は、外国人そのものにあるのではなく、その外国人と日本人スタッフの橋渡しをする日本人の権力者の問題であることが多い。
これは金融業界に限らず、外資系企業共通の課題だろう。

トップの外国人の戦略的思考や経営方針を実際に伝える彼らのマインドや仕事への情熱、責任感によって簡単にメッセージは脚色されてしまうし、日本人の悪い癖である「どうせ外人の言うことなんて」みたいな発想で日本人同士の村社会を保つ方向に流されやすいのが実情だろう。
いわば経営者以上に経営リテラシーが求められる階層なのだが、残念ながら今の未成熟な人材市場では「とりあえず英語ができる(英語"は"できる)という人が社外からヘッドハントされるというケースも多い。
これはパッと見機能しているように見えて、実は最悪のケースで、トップの外国人役員も下で情報を受ける日本自スタッフもどちらも不幸になるケースが如何に多いことか。

最近考えるのは、もしパリでの駐在を終えて日本に帰る頃は、外国人役員と日本人スタッフとの協業をよりシナジー生む形で橋渡ししなければ、ということ。
もちろん、小さな組織でもできれば自分が意思決定できるポジションに着きたいと思うし、これまでの経験を生かしてそういう責任を取るようにならければいけないとも思う。

そのために、今は少しでもフランス本国で意思決定をしているディレクター層とのミーティングや彼らへのプレゼンの機会を積極的に得て、経験を積むことが大事だろう。

その一方で、「海外赴任帰り」のような雰囲気を出さないように、日本との感覚のズレも最小限にしなければならない。
パリで働いたということはキャリアとしては意味のあるものだけど、感覚がフランス人化してしまってもダメだからな。

何事にもバランスが大事ということ。
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きくち

お疲れ様です。
日本語の本はどうやって入手されていますか?
パリならやはり「ジュンク堂(←何となくフランス語っぽい)」のでかいのとかありますか?
その辺の読書事情をまた書いてください。
by きくち (2008-03-18 00:23) 

TAKKUNN_S

お疲れ様です。
インフルエンザから無事復活されたようで、なによりです。

上に上げた本は、パリのオペラ座近くのブックオフで買いました(笑)
ブックオフの中だけは日本にいるのと勘違いしそうなほど同じ雰囲気です。
もちろん漫画の立ち読みもOKで、日本人がみんなむさぼるように読んでました。

あとは、人から借りるかですけど、どちらも入手できる本に限界があるんですよね。
Amazonを通じてフランスで通販購入したら、値段がどうなるのかを調べてないのですが、近いうちに何冊か買ってみようと思います。

なんかいい方法あったら教えてください。
by TAKKUNN_S (2008-03-18 02:07) 

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