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思考のフレームワーク [仕事]

正直ちょっと腹が立ったというか、失望したというか、なんなんでしょ。
今日は朝から、新しく立ち上げようとしているProjectに関してフランスの現地法人(今働いている組織はホールディングカンパニーのような形式となっており、ノンオペレーショナルカンパニーであって、フランスの営業会社は別にある)に昼過ぎまで居た。
Projectのキーとなる項目について社内の専門家から説明を受けていたのだが、2時間半に渡るプレゼンとその資料がフランス語のみ・・・。 
とはいえ自分がProject Managerなので、そんな中でも何かしら成果を上げて進めていかなければならない。
何とか話をつけて自分のデスクに戻ってきたのが3時前だった。
そこか今度はベルギーと1時間のテレコンをしてProject背景、趣旨、してもらいたい作業を説明。
かなり声の渋いマネージャーだったが、冗談も言い合いながらなんとか和やかなムードで電話を終えた。

で、後は午前中のミーティングのサマリーを作って送ろうと思っているところに日本からメールが。
「今社内で専業主婦に対するアプローチを考えていて、もしグループの他の国に参考事例があれば何でも教えてください。」(もちろん業務に関することなので質問自体大幅に変えています)とのこと。

これは一番やってはいけない情報収集のアプローチだな。

まず、課題や困難を共有しているであろう人に聞くに当たって、あまりにもロジカルさにかける質問内容だ。
そもそも、課題(英語で言うとイシュー)とは何かということへの理解に欠けている。

イシューとは何か。
それは、認識している現状とあるべき姿の乖離、すなわちギャップな訳だ。
ギャップがあるからそれを改善したいと思うわけで、そもそも現状もあるべき姿もわからないのであればイシューは生じない。

それがわかると、自ずからブレイクダウンされた項目が生じてくる。
つまり、何に対してそのギャップを感じてるの?ということ。

対専業主婦なのであれば、今の顧客ポートフォリオの中で専業主婦層が10%を占めているけれど、競合他社を見ると20%程度になっている、だとか、主婦層の契約継続率が○○に比べて低い、だとか、クロスセル・アップセルがうまくいかない、だとか、営業チャネルがうまく主婦層にコンタクトできないだとか、何かあるはずだ。

「現在専業主婦層は○○という状況にありますが、マーケットをみると競合他社は××となっています。
さらにその主な原因は契約獲得後の継続率にあると分析したのですが、他国で専業主婦層の継続率向上のために取っている施策はありませんか?」

最低でもこれくらいの踏み込みをしない限り、有益な情報が集められるはずもない。
どころか、誰かが親切にも専業主婦層のインターネットを活用した販売施策を送ってくれた挙げ句に、「あ、インターネットの活用率は十分で、主な課題は契約継続率のようです。」みたいなやりとりが生じること異なる。

そうすると、好意で対応してくれた相手も、「だったら最初から言えよ。」と気を悪くすること間違いない。
それ以前に、ほとんどの人は「といっても、今の日本のビジネスモデルが分からないから、こういう情報あげても無駄になるかもしれないし・・・。」と思って結局返事をするのを忘れてしまうだろう。

こちらに来て最近特に思うが、本当に日本はこういう「思考のフレームワーク不足」が目立つ。
なぜ?どうして?を自問自答する前に進めてしまう傾向があるのではないか。
そもそも、イシュー解決に際して「何でもいいからこれについて情報を欲しい」と言っている時点で「何が課題なのか分かっていません」と暴露しているのと同じと言うことに気づかないといけない。

こちらに来て最も悩ましいのは、直属の上司であるディレクターとすら、1週間に1時間のミーティングを確保するのが大変だということ。
その一方で現時点でも3つのProjectで延べ30ヵ国以上とやりとりをしている中で、しかも各国を集めての2日間のプレゼンを控えていたりして、課題山盛り状態な訳だ。

でも、週に1時間を最大限活用するためには、限界まで自問自答を繰り返して、自分の本当の課題は何なんだということを考え抜かないといけない。
しかも、上に書いたとおり「最終的にこれが課題です。でもどうしていいか分からないので何でもいいからアドバイスをください。」とは言えない。
つまり、「最終的にこれが課題で、こう考えたからこういう解決を図りたいのですが、いいですか?」という聞き方をしないといけない訳だ。

上司も日本ほど「そうだよね、大変だよねえ。でもまあやらなしゃないから・・・。」みたいな人はいない。
「じゃあその“思考のフレームワーク”を今10分でプレゼンして。」とよく言われる。
そこでうまく伝えきれないと、「悪いがポイントが分からないから、もう少し整理してきて。」と1週間先延ばしになってしまう。
こうなるケースも少なくないのだが、そうなるとこっちは各国とのやりとりに1週間の作業遅延が生じるからシャレにならん。

そういうことを繰り返している間に、「課題を煮詰める」「仮説を常に述べる」「如何に一見で課題を理解できる資料にするか」(もちろん詳細情報も必要だけれどそれらは基本的にAppendix)を朝から晩まで考えるようになってきた。

これが今のところ、フランスに来たことの一番の成果かな。
課題を煮詰めるには、ギャップを認識するためにある一定のベンチマーク(マクロ経済状況、競合他社、時には他業界が何をしているか、国による差異)に興味がいくし、数字も自然に覚えてくる。

日本はメリットもあるのだが、「いつでもミーティングができる」「言葉にしなくてもなんとなく共有できてる」「言わんでも誰かがやってくれる」というある意味素晴らしい職場環境がそういう思考の醸成を阻害している気がしてならない。

明日と来週は、そんな仕事の山場が続々とくるなあ。
でも、11ヶ月経って、やっとそのいくつかが気が滅入るほど憂鬱ではなくて、待ち遠しいと思えるようになってきた。
と同時に、うまくいったときに自分へのご褒美に買うワインが微妙に値段アップしてきているのだが・・・汗
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