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米国金融危機 [ちょっとまじめな話]

つい数時間前に、予定されていたAIGの資産売却方針が発表になった。
FRBから借りている金額と利子を考えると当然かもしれないが、思った以上にインパクトのある内容で正直驚いた。
特に、日本で営業している関連生損保は、AIGエジソン生命とAIGスター生命のみならずアリコジャパンまで売却の意向とは、これは日本の金融市場に与える影響は少なくない。

ここで改めて、今回の米国金融危機がどれくらい規模の大きなもので、日常生活にとってどんな影響があるのかを簡単に書いてみたい。
もちろん、経済学の専門家ではないので、かなりざっくりと書いているし、間違っている部分もあるかもしれないが。

まず、・・・どこから始めようかな。
というのも、経済の流れはすべてリンクしている大きな一筆書きのようなもので、いわゆる鶏が先か卵が先かという話になってしまう。
ではまずは日本のGDPから書いてみようかな。

日本のGDPは現時点で大体515兆円くらい。
ちなみに国家予算は約85兆円弱。
アメリカは規模的には日本の3倍弱くらいかな。

これだけでも色々話ができそうだけど、あえて飛ばして、そのアメリカのGDPを支えているのは、日本以上に個人消費が中心で、大体70%がそれに相当する。

ちなみに、GDPとは国内総生産の意味だけど、Wikipediaにもあるとおり、国内総生産とは一定期間のうちに国内で生み出された付加価値の総額。
付加価値とは企業活動の基本である、何かを仕入れてそれに価値を付加して最終的に商品・サービスを販売する、その価値のことを指す。
つまり、付加価値500兆円というのは、国内外から仕入れた原材料費と最終的に国内企業が得る売上高との差額ともいえる訳だ。

で、日本がその50%を個人消費に頼っているのに対して、アメリカは70%が個人消費に基づく。

その一方で、アメリカの貿易収支を見ると、これが赤字で約100兆円と大幅なマイナス。
日本は約12兆円の黒字で、中国は約20兆円の黒字(!)と言うことを考えると、とにかくアメリカはガンガン他国から輸入して、それを国内で大量消費していることがわかる。
まさに、消費大国なわけだ。

で、その個人消費を支えているものが何か、もっと簡単に言うとどうしてアメリカ人は個人でそんなにお金を使えるのかというと、これまでは右肩上がりの住宅価格がそれを支えていたというわけ。
どういうことかというと、たとえば20万ドルで買った住宅価格が30万ドルに上がると、日本では大体の人が「あ、ラッキー。このまま行けば将来高く売れるかも?」と内心気分よくなるだけなのに対して、アメリカ人住宅ローンを借り換えて、今の20万ドルに対してプラス10万ドルを現金として得る。
で、その10万ドルで何をするかというと、それで車を買ったり旅行をしたりする。
本当に日本人からしてみると全く理解できないのだが、今の仕事上各国での顧客アンケートの結果を見比べたりするとアメリカ人リスク許容度は頭一つ抜けている感がある。

そういった国民性とスキームを証券化しながら金融商品として仕立て上げたのがサブプライムなわけで、いかに高度な金融テクニックを駆使しようとも、末端のローン借入者が右肩上がりの住宅価格の高騰に頼り切って無謀なリスクをとり続けていることに代わりはなく、彼らがローンを払えなくなったり住宅価格の上昇が頭打ちになった時点でボトムアップで破綻することは当然と言えば当然なわけだ。

あれだけバブル崩壊後の日本の不良債権を、不動産は地価で評価するのではなくその不動産がもたらすキャッシュフローで評価しなければならないとこき下ろしたアメリカが、結果的にキャッシュフローではなく上昇している不動産価値に頼り切って破滅したというのは、何とも皮肉なことだ。
この点については、日本ももっと追求してもいいと思うけど。

こうやってマクロ的に考えると、世界中の貿易黒字を一手に引き受けてくれていた輸入大国アメリカが、その根幹となる個人消費が破綻することによって今度は世界中にマイナスインパクトを与えるであろうことは容易に想像がつく。

国際化が遅れている日本企業は既に国内市場が飽和状態になっているのを機に海外進出に乗り出したまさにその時に、安泰と思われた一番のお得意様のシャッターが突然閉まったようなものだ。

当然それによって計画の見直しや後に引けない投資済み費用(サンクコスト)が生じるだろう。
実際に昨日のニュースでは自動車メーカーのスズキが大幅な経営計画の修正を迫られていることが報じられていた。

この流れでどんどんドルが弱くなると、相対的に期待が集まるのがユーロな訳で。
でも、欧州中央銀行は「現時点で過度の期待がユーロに寄せられているが、ユーロの適正な通貨価値は対円130円くらいが妥当なはずだ。」と、先にユーロ過熱に釘を刺している。

しかし、個人的にはこれは困る!
なぜなら、今の給料はユーロベースでもらっているわけだが、計算の根拠となっているのがかなりの円安レートだからだ。
130円になってしまうと、どんなにがんばっても追いつけないくらいの円ベースでの減給になってしまう・・・。

アメリカの金融危機が、巡り巡って自分の給与にここまでダイレクトに影響してくると、危機感をリアルに感じずにはおれまへん(涙)
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