SSブログ

総選挙2009に思う [ちょっとまじめな話]

現在パリ時間8月30日(日)の13時45分で、フランスにいるといつもと変わらない週末なのだが、日本では歴史的な瞬間が訪れようとしている。
朝から気になってネットの選挙速報を見ているが、開票速報を見ると既に民主党が既に220議席ほど獲得して単独過半数どころか3分の2も超えようかという勢いだ。

今回僕自身はちょうど在外選挙の期間に日本に戻っていたこともあって、投票できなかったことが悔やまれるが、この選挙で今日を境に日本が大きく変わっていくことは決定的なようだ。
ただ、果たしてどれだけの人が消去法でなく民主党に投票したのか、その意志決定過程が十分に考えられたものだったのかという点についてはすごく疑問が残る。
そう言う意味では前回の郵政選挙での自民党の圧勝の時も同じ事が言えたのだろうが、ただ前回と今回で大きく意味合いが異なるのは、与野党が逆転するということだ。

よく国際化、グローバル化、世の中のスピードが云々と言われるが、今の世の中で現実とシステムが思いっきり隔離してしまっているものの一つが議会制民主主義を支える選挙制度だと思う。

特に、近年よく耳にするマニュフェストというのがどうにも理解できない。
今のマニュフェストはそもそも公約を達成できなかったときの罰則も何もなく、そもそもその結果をトラックする方法も無いため、極めていい加減・・・言ってしまうと言いっぱなしでOKな意味のない物になっている。
加えて、各党を横差しに出来るような同じフレームワークが無いため、それぞれの政党が理論的根拠が無い誰にでも聞こえの良い内容だけを盛り込んでしまっている。
それを他の国と比べても選挙に関心の低い・・・というよりも戦後の急激な生活水準の向上と社会の発達で政治に対する興味や感度が鈍化してしまった日本人に "お願い" という形で語りかけるしかなくなってしまっている。
そしてそもそもそのギャップを適切に分析して、政党と国民に明確な問題提起をしていくはずのマスコミが、低俗な視聴率争いに終始してレベルの低いあげ足とりばかりしている。
これを負の連鎖と言わずしてなんと言おうか。

一方で世界経済では100年に1度の経済危機が起きていて、日本の経験からみても今後10年間は金融業界に端を欲したダメージが製造業や国民生活に徐々に広がっていくのも確実だし、外交問題でも北朝鮮や中国の軍事的台頭をアメリカのプレゼンスの低下による日米安保の見直しを含めて考えるという、まさに差し迫った状況になっている。

国内問題も社会の高齢化や税制の見直しの必要性等が山積しており、極端に言ってしまえば政権交代で政治的空白を作っている暇はないのではないか。
この政治的空白が、民主党政権が確立した後に今までの自民党政治を遙かに凌駕する成果を出すためのものであれば価値はあるが、今の民主党の面々を見てもほとんどもと自民党党員であり、結局自民党同士の戦いのようなもんだ。
であれば、少なくとも今の自民党は問題はありながらも政権運営を続けてきたわけで、それをまた一から省庁との関係構築を含めて経験のない議員がやっていくのかと思うと・・・果たしてどこまで意味があるのだろうか。

さらに、民主党の掲げる政策には永住外国人への参政権付与などをはじめとして、日本の国益や国家の主権に大きく関わる物が多く、これも不安。
党大会で国旗を切り貼りして党旗を作ってしまう政党だからなあ・・・。

こう考えると、二大政党政治というのが果たして今の日本に即しているのかどうかに疑問を感じざるを得ない。
本来二大政党政治が進んでいたイギリスやアメリカにはその歴史的必要性、貴族階級と平民階級の争いや、保守派とリベラル派といった国を2分する勢力図があったわけだが、ほぼ単一民族で国民総中流の日本ではそういった背景はない。
日本の歴史を見ると、明治政府が出来るまで続いた藩による完全な地方分権が元になっており、そもそも近代国家が形作られてから国として軍事・外交・内政をやってきた経験すら少ない。
やってきたような気がするのは、第二次世界大戦以降アメリカの軍事力の傘に守られて、国内の経済だけに集中できてその結果そのアメリカも驚くような経済成長を達成できただけで、本当の意味で近代国家として独立した経験は無いわけだ。

とはいえこれまで日本が築き上げてきた物は素晴らしく、これを守り育てていくことが何より重要。
そのためには、政権交代をしてまで子供手当の実施といった大きな政府を目指すやり方ではなく、道州制をはじめとした地方分権に "戻す" 事の方が大事だと思う。
もちろん、だからといって橋下知事やそのまんま東を良いと思ってるわけじゃないけど。

地方分権に戻した後は、地方における意志決定は政治的な対立を軸に置くのではなく、その地方を如何に振興させていくかという論理的・発展的な思想に基づいて政治が行われるべきだ。
そのためには各地方に首長(道州長や知事レベルではなくても、市長レベルでも良いと思う)の元に色々な人材がプロジェクトチームとして発足して、内外的な視点を含めてその地域でのソリューションを考えていく、そういった仕組みが出来ればと是非思う。
話が長くなったが、社会人人生の最後の10年はそういった仕事をしたいと思うのだ。
今回京都に帰ったときは、生まれ育った街を車で走りながら、毎日そんなことを考えていたな。
実際にそういった仕事が出来るとなったときに、この町を自分ならどういう風に変えていきたいか、海外の行ったことのある都市との対比やそのプレゼンなんかを想像していた。
微力ながら、自分が所属する地域に対して少しでも得た物を通じて還元がしたいというのが、社会人としての最終目標かな。

そんな思いをよそに選挙速報に今目をやると、民主党はほぼ過半数を超えようかという所。
このモメンタムが、せめて日本にとってプラスになってくれればいいのだが。
nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 2

Jun Papa

 ちょうど私も、有志が入れ替わり立ち替わり、地方であれ国であれ、クニづくりにコミットしていくのって良いなと、最近、思い始めてました。最近、選挙の街宣で、ある与党(当時)議員の支援者が「福祉の充実を国にお願いしてまいります。」って言ってたんですけど、「お願いって、あんたが国の方針決めるんじゃないの?」と大変びっくりしました。まあ、候補者本人じゃないから大目に見るとしても、この他力本願感覚というのが、意外に政治の近くにいる人に多いような気がします。情報公開とか、オンブズマンとかで重箱の隅をつつくような参加じゃなくて、自分で国を作るという経験を共有できるような市民参加型政治が必要じゃないかと思いました。
 こんな話をしながら、飲みにいける日を楽しみにして東京でお待ちしています。
by Jun Papa (2009-09-01 23:45) 

TAKKUNN_S

ある本で読んだ言葉で心に残っているものに、「エリートとは学歴が高い事でも頭が良い人ではなく、自発的に他人に対する責任感を感じられる人の事だ」というのがあります。
本来国のためにと立ち上がる人はその最たる物でなければならないはずですが、そういった人が他力本願志向(しかもお願いベース)では、変えられる物も変えられませんね・・・。
やっぱり自分が肌感覚で感じられる範囲で帰属する地域を見定めて、問題意識を持った人たちと一緒にこの地区を、村を、町をどうしようという所から何か出来ればいいなあなんて思っています。
こちらこそ、東京に帰ってお会いするのを楽しみにしています!
by TAKKUNN_S (2009-09-02 05:23) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

無駄足強者ども?が夢の後・・・ ブログトップ
free counters

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。