戦略論の歴史 その2 [仕事]
前回からのつづき(他に書きたいネタがあるけど、まずはこちらを完結させないと)。
◆1980年代半ば~:コアコンピテンス・CRM
1980年代半ばからは、それまでの競争戦略が外的要因や競争要因といった「外」を重視していたのに対して、内なる経営資源である人・物・カネに注目し、自社の強みを伸ばして顧客を獲得していくという発想と、その顧客をより深く理解し、多様化したニーズをライフタイムバリューベースで取り込もうというCRMの考え方が盛んになってきた時期ではないだろうか。
一方で、人・物・カネに注力してコア・コンピテンスを伸ばすという考え方は、どちらかというと技術的な優位が市場と競争を激変させるような自動車・化学といった分野に適合しやすいし、CRMの考え方はよりコモディティ化した消費財中心にフィットしやすいように思う。
◆2000年代~:これまでの非常識を常識とするオンラインベースのビジネスの開花
Googleのフリーミアム(フリーなインフラ+広告での収益=プレミアムの組み合わせ戦略)、Amazon.comのロングテール、Appleの破壊的イノベーションなど、これまでの戦略論の延長ではほぼ出てこない、もしくは王道だけを考えるのであればむしろ否定されたであろう戦略が一気に開花してきたのが2000年以降のトレンド。
これを可能にしているのは言わずもがなのインターネットと、売り手と買い手の関係を多面的に捉えるプラットフォーム戦略の2つなのではないだろうか。
例えばGoogleは広告主とインターネットユーザーを検索サイトというプラットフォームで繋いでいるし、口コミサイトもしかり、ソーシャルゲームもそうだ。
マーケットを面で切り離し、片方には無料でサービスを提供することで、マーケティングの4Pの一つであったPricingを事実的に無視する大胆さは、今自分が普通に日々使っているサービスだったりするが、改めてその発想を紐解いていくと、Deduction(演繹)でもInduction(帰納)でもないAbduction(発想)の世界だと実感する。
と、何となく個人的に整理したかった思いもあり、それぞれの時代背景とそのときに生み出された戦略論を極めてハイレベルに並べてみたが、改めて思うのは、時代背景や適合業界・ビジネスモデルを理解しないまま漫然だらりと既存フレームワークを使っていても、スライドを埋めるという作業以上の付加価値は生みづらいということ。
もちろん、そもそも定石的なフレームワークを知らないことは論外だが、今多くの大企業の戦略・企画担当者がパワーポイントスライド作成屋さんに成り下がってしまっているのではと、自戒の念も込めて危惧する。
ビジネスが多様化する中で、状況整理するだけでも一筋縄ではいかない時代になってきたが、だからこそ安易なフレームワークに逃げずにファクト・ロジックに基づいたストーリー性のある戦略企画を心がけたい。
参考までに、これ系の話でタメになる本をいくつか挙げときます。
◆1980年代半ば~:コアコンピテンス・CRM
1980年代半ばからは、それまでの競争戦略が外的要因や競争要因といった「外」を重視していたのに対して、内なる経営資源である人・物・カネに注目し、自社の強みを伸ばして顧客を獲得していくという発想と、その顧客をより深く理解し、多様化したニーズをライフタイムバリューベースで取り込もうというCRMの考え方が盛んになってきた時期ではないだろうか。
一方で、人・物・カネに注力してコア・コンピテンスを伸ばすという考え方は、どちらかというと技術的な優位が市場と競争を激変させるような自動車・化学といった分野に適合しやすいし、CRMの考え方はよりコモディティ化した消費財中心にフィットしやすいように思う。
◆2000年代~:これまでの非常識を常識とするオンラインベースのビジネスの開花
Googleのフリーミアム(フリーなインフラ+広告での収益=プレミアムの組み合わせ戦略)、Amazon.comのロングテール、Appleの破壊的イノベーションなど、これまでの戦略論の延長ではほぼ出てこない、もしくは王道だけを考えるのであればむしろ否定されたであろう戦略が一気に開花してきたのが2000年以降のトレンド。
これを可能にしているのは言わずもがなのインターネットと、売り手と買い手の関係を多面的に捉えるプラットフォーム戦略の2つなのではないだろうか。
例えばGoogleは広告主とインターネットユーザーを検索サイトというプラットフォームで繋いでいるし、口コミサイトもしかり、ソーシャルゲームもそうだ。
マーケットを面で切り離し、片方には無料でサービスを提供することで、マーケティングの4Pの一つであったPricingを事実的に無視する大胆さは、今自分が普通に日々使っているサービスだったりするが、改めてその発想を紐解いていくと、Deduction(演繹)でもInduction(帰納)でもないAbduction(発想)の世界だと実感する。
と、何となく個人的に整理したかった思いもあり、それぞれの時代背景とそのときに生み出された戦略論を極めてハイレベルに並べてみたが、改めて思うのは、時代背景や適合業界・ビジネスモデルを理解しないまま漫然だらりと既存フレームワークを使っていても、スライドを埋めるという作業以上の付加価値は生みづらいということ。
もちろん、そもそも定石的なフレームワークを知らないことは論外だが、今多くの大企業の戦略・企画担当者がパワーポイントスライド作成屋さんに成り下がってしまっているのではと、自戒の念も込めて危惧する。
ビジネスが多様化する中で、状況整理するだけでも一筋縄ではいかない時代になってきたが、だからこそ安易なフレームワークに逃げずにファクト・ロジックに基づいたストーリー性のある戦略企画を心がけたい。
参考までに、これ系の話でタメになる本をいくつか挙げときます。
ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)
- 作者: 楠木 建
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2010/04/23
- メディア: 単行本
2012-11-24 21:43
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