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Rational behind doing it in English! [仕事]

英語でいわゆる戦略企画系の仕事をしていると、何とも日本語に訳しづらい独特の言い回しに触れることが多い。
ドキュメント上でも知らないと「?」と止まってしまうのだが、これが電話会議などになるとさらに混乱を招きがち。
日本の場合は(今や日本だけといっても過言ではないが・・・)通訳を介することが多いのだが、それが逆に混乱を呼ぶ元になる事もままある。

例えばよく使うフレーズとして"Could you please elaborate the rational behind this initiative?"というのがあるが、このrational behind(理論的裏付け)を「この計画の背景を教えて頂けますか?」等と通訳してしまうと、年配の日本の役員などは得たりとばかりに「そもそも我が営業チャネルは1978年に○○との業務提携を機に発足しまして、以後□□マーケットの中核を担って今日に至っております。近年では・・・」と歴史の説明が始まってしまうことが結構ある。
相手側は今回の戦略を策定するに至までに、どのような分析、検証、テスト等などがあったのか、その論理的なストーリーラインを聞きたいのが、回答として時系列的・歴史的背景を答えてしまうというわけだ。
こういうのは慣れてしまえば何ともないのだが、いかんせん日本の商習慣の中で使う用語と、そもそもビジネスストラテジーとしてはオリジナルの英語のニュアンスが異なる(=ピッタリ相対する訳語)がないことが原因。
他にはValue Propositionだとか、KPI(Key Peformance Indicator)、Value for Moneyといった用語やNet earnings、Turnoverといったテクニカルタームも混乱の元になりがち。

フレーズや単語が元での誤解を避けたいのと、そもそも外資系企業であるが故に上に行けば行くほど日本人以外のマネジメント率が高くなる社内特性を踏まえて今悩ましいのは、日本に帰国後の自分のチーム内での言語をどうするかということ。
今の時点で考えているのは、チーム内および上層部に対するドキュメントは全て英語にするということ。
もちろん他部門が見る可能性のある資料については日本語だし、チームミーティングも会話は日本語にしたい。
これによるメリットは二つあると考えている。
一つは、フランス本社や社長以下のトップマネジメントと急遽ミーティングが生じた際に即座に対応できること。
もう一つは、母国語ではない英語で資料を作ることに寄る論理の簡素化と明確化だ。
特に二つ目は重要で、帰国子女でも何でもない(というか入社当時TOEIC390点という新卒最低点をたたき出したようなレベルだったわけだが)僕が経験を通じて思ったのは、苦手な英語で説明できないようなストーリーラインは実は日本語レベルでも十分自分で煮詰め切れていない、というのを痛感したからだ。
逆に言うと、十分に自分の中で消化して納得した提案であれば、拙い英語でも十分説明出来るということ。

しかし一方で、これが英語アレルギーを触発してチーム全体のパフォーマンスに影響を与えないかどうかを注意深く考える必要がある。
最近フランスのネット企業を買収した楽天が社内英語化を猛烈に推進していて今や社内の公用語を全て英語にし、日本人同士のミーティングも英語のみにしているそうだが、僕はこれには正直大反対だ。
一番の理由は、冒頭に書いたとおり英語の問題は言語そのものにあるのではなく、商習慣に因るところが大きいということ(英語圏の人間で戦略会議中に営業チャネルの歴史を質問する人はいない)。
なので、日本人だけの組織で日本人を上に据えたまま社内公用語を英語化すると、混乱が等比数列化していくリスクがある訳だ。
もう一つは、あまり一気に英語化へふりすぎると、いわゆる「英語は出来るけど仕事が出来ない(ひどい場合は英語以外に取り柄がない)」人が中途採用を含めて社内に跋扈し、それまで培ってきた企業競争力の基盤を弱める可能性が高いからだ。
実際楽天ではそういった兆候が散見されるとの話も聞く。

その一方で、今や国内社・外資を問わず、英語が出来ない・・・というより英語の情報に意識的に触れないだけで、ネット化が進む現在の社会環境だと最新の経済状況、マーケティング戦略、市場動向の90%以上に最初から触れる機会をギブアップしているのに等しい状況になる。
これは、例えば同業界で国際的に活躍している企業のアナリスト向けプレゼンテーション資料などを読む度に新たなフレームワークや発想のキーとなる指標を見つけられることでも明らか。
こういった話をするとよく「そんなハイレベルな情報を見ても、現場の仕事に即役立つものがあるわけでもないし、時間の無駄。そんな時間があったら目の前の業務に集中しろ。」と言う人も多いが、僕は少なくともイノベーティブな発想はそれ相応のインプットがあって初めて生まれるものだと思う。
人間は仕事がルーチンワーク化して新たなインプットがなくなると、自然と身体で覚えた動きをしてしまい、新たな発見をする確率は下がってしまうものだと思うからだ。

長々と書いてしまったが、要はもっと多くの情報にアクセスしてそれを楽しく有効活用しながらチーム全体でレベルアップしていければいいねってこと。
こういうことに頭を悩ませてる時間も、結構楽しい。

Moving back to JAPAN [仕事]

2月から約4ヶ月にわたって主に日本とアメリカで次のアサイン先を探してきたのだが、先日正式に日本からのオファーを受諾して、9月末に次の職場で就業開始することとなった。
普通に考えると駐在員としてパリに来ている以上、その任期終了とともに元のエンティティに戻るのは既定路線のように感じるが、うちの会社のようなグローバルな外資系企業で、ある一定以上のポジションで次のアサインメントを探すのは業界他社に転職するのとあまり変わらなかったりする。
僕も実際英語でCV(履歴書)を書いて、仕事で懇意になった役員に送り、それぞれと電話、ビデオ会議、対面で面接を実施してきた。
その中で、最終的に日本からのオファーを選んだのは、上司とそのボスの2人のフランス人役員からのアドバイスが大きかった。
以前もBlogに書いたように、次のアサインメントを探すに際して自分に課した条件は主に二つで、チームマネジメントとオペレーショナルな業務に関する責任を持てるポジションというものだ。
当初は第一候補としては日本、それ以外にはどんな国からのオファーでも、中央東ヨーロッパや地中海・ラテンアメリカおよびアジアといった新興国でもOKというスタンスだったのだが、その時に言われたのが「両手にリスクを抱えてはいけない」ということ。
つまり、僕にとっては自分のチームを持つことが始めてな訳で、それと同時に全く知らない環境(=初体験の国)だとすると、まさに知らない地で知らないことを始めることになってしまう。
上司曰く、そんな環境でももちろん自分なりの付加価値は出せるだろうが、それを出し始めるまでの期間と短期間で次の組織に提供できる付加価値の総量は、片手だけにリスクを持ったときに比べて少なくなってしまうし、何より自分が知らない環境だと自分自身のやっていることに対して正当な評価が出来ないと言うこと。
これはまさに筋が通っていて、確かにそうだと思わされた。

そういう経緯もあり、日本のかつて7年半働いた現地法人の中の複数の部門で職探しを始めたのだが、簡単にいくとは思っていなかったが、思っていた以上に骨の折れるプロセスだった。
今回骨身にしみて分かったのは、まず魅力的なのに空いているというポジションはあり得ないということ、そして特に日本の場合、変化を求めていながらも実際は異なるバックグラウンドを持つ人間の参加を必ずしもウェルカムに思っていないと言うことだ。

最初の点をさらに具体的に言うと、管理職として職を探す以上はもうポテンシャルを見込んで採用してもらうという訳にもいかず、必然的に交渉は「自分だったらあなたの組織にこのように貢献が出来る」ということをデモンストレーションすることになる。
当然7年半もいた組織なのでその中にいる人もよく知っているだけに、暗黙的に「今いる人よりもプラスになる」という方向で話をしなければならないのはかなり苦痛だった。
もちろん話の中で露骨に相対的な話はしないが、最終的に空いているポジションがない以上は次の上司にとっては配置転換をする以外にないため、それを思うと気が重かった。

2つめの点は、まさに先日の全世界を集めたコーポレートミーティングでうちの会長がクロージングスピーチで述べた、"Everyone understands they need to change but everyone sees it as someone else's problem" という点に要約されるのではないかと思う。
今回最終的に魅力的なオファーがもらえたポジションも、そのレポートラインがCEOから直属の上司となる役員まで、イギリス人、ドイツ人、アメリカ人という外国人ラインだったことでもよく分かる。
だからといって個人的には外国人よりのマネジメントスタイルを取る気も全く無いし、出来る限り日本のスタイル中心に、日本を外から見て感じた欠点をパリで得た経験を元に補完するような方向でチームのモチベーションを上げながらチーム全体でバリューを提供するような、遊撃的な組織を作りたいなんて考えている。

なにぶん初めての経験なので、これまで数年間想い描いてきた「もし自分がチームを持ったら」という想いを反芻しながら、これから数ヶ月間、チームメンバーと始めて対面で接するその時まで悩み抜くことになると思う。

今年の後半は色々また変化があると思うと、今からとても楽しみ。
でも、パリを離れる前に先週上司から9月末までに大急ぎで取り組まなければならない新たなプロジェクトにアサインされたので、それでイッパイイッパイになりそうだけど・・・。

Pâques - 復活祭(イースター) [仕事]

今週は中々キツい一週間だった。
自分としてはそれほどとは思っていないのだが、昨日今日と職場の同僚の何人ものフランス人から「無茶苦茶疲れてるように見えるよ」と声をかけられた。
それもそのはず、月曜日から2日間に渡る各国の営業ヘッドを集めたボードミーティングがあり週末からその準備に追われており、火曜日はそのボードを抜けだしてアジア・東欧・地中海および南アメリカのいわゆる新興国を一堂に集めた電話会議でとあるプロジェクトについてプレゼンおよび意見のとりまとめを行い、水曜日はその報告を兼ねてスポンサーであるUKの現地法人の役員と1対1の電話会議を行い、木曜日は数時間のテレコンおよび別のプロジェクトのサブワーキンググループの来週に控えたキックオフの資料を整えて、今日金曜日は水曜日の電話会議で依頼された通り5月の全世界の役員が集まる年に1回の会議に意志決定を諮る新たなビジネスユニットの組織および職務分掌規定のドラフトを立案して関係者に送付して終わった。
改めて振り返ると最近は毎週そうだが、「もう一回やれと言われても無理やな」という週が続いている気がする。
モチベーションがいまいち上がらない中で限界まで付加価値を発揮できているのかは不明だが、少なくとも関わっているプロジェクトが進捗しているのを感じることの出来た一週間ではあったように思う。

そんな疲労困憊の一週間だったが、今週末は来週月曜日がイースターで祝日となるために3連休。
フランスはバカンスが多い代わりに祝日が少なく、年間でせいぜい12日程度。
そのため自分が計画的に取得したわけではない3連休などがあると、妙に得した気分になってしまう。
しかし何で欧米では祝日のことをBank holidayというのだろうか。
銀行が休みになれば企業も休みになるという意味だとも聞いたことがあるのだが、別に祝日は銀行のためではないのに。

とにかくなんと無くリラックス出来るこの3連休はTGVで少し遠出してリヨンで過ごすつもり。
リヨンはとにかく食事が美味しいことで有名な地方都市なので今から楽しみ。

そしてCologneへ [仕事]

日本から帰ってきたと思ったら翌日からは3日間ドイツのCologne(ケルン)にてワークショップの開催。
ドイツは人生初だったのだが、パリからはエールフランスで1時間半ほどとあっけないくらい簡単についた。
Flughafen Düsseldorf International(デュッセルドルフ国際空港)に降り立った最初の感想はと言うと、きれいで整然としていて何となく日本に近い物を感じた。
そのままタクシーでホテルに向かい、その後夕方5時からドイツの現地法人でワークショップを開始。
いつもは翌日から2日間ワークショップを開始するというのが通例なのだが、今回はトピックが多かったので初日の夕方からいきなり2時間ほど働いたうえで全員でディナーに行くことに。
初日は僕のプレゼンパートで、前日に準備した資料を基に話をしたのだが結果としては好評で一安心。
その後向かったディナーのお店は、下町の居酒屋といった感じ雰囲気。
そしてもちろんドイツと言えば、これ、ビールでしょう。

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ケルのシステムは、いわば日本のわんこそば方式。
飲みたいビールを頼むと、お店のひとが手桶のような物の中に小さめのグラスを持って来てくれる。
その後はこのグラスを飲み干すたびに、「もう結構です」と言うまで勝手に持ってきてくれるという物。
ビール自体はもっとコクのある物を想像していたのだが、以外とライトだった。

つまみはと言うともちろんこれ、ソーセージ。

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どっしりとボリュームのあるソーセージだったが、肉のうまみが凝縮されている感じでおいしかった。

そして翌日。
残念なことに担当している別のプロジェクトのスポンサーから急な依頼があり、僕一人終日ホテルの部屋にこもってそちらの対応に追われることに。
せっかくケルンに来てここ半年以上ともに働いている様々な国の同僚たちと一緒だったのに、これは非常に残念。
結局朝から夜までかかって何とかこなして、その日は昼飯時にホテル近くの銀行にユーロをおろしに行った以外はずっと自室にこもっていた。

これはその一瞬だけ外に出たときに撮ったホテル周辺の景色。

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非常に良く整備されていて、やっぱり何となく日本のような雰囲気。

そして3日目は再度ワークショップの合流して、グループ分けされたブレインストーミングセッションに参加するなどして有意義に過ごせた。
これまで半年以上11カ国とともに進めてきたプロジェクトだが、ここに来てかなり具体的に各国でアクションに落とし込んでいく方向性が見えてきたおかげで、ワークショップの議論も実践的なものが多く、プロジェクトを運営する我々側も参加した国同士にとっても意味のある物だったと思う。

そんな収穫を持って3週間にわたる旅につぐ旅から帰ってきて久しぶりにパリでの週末を過ごせたのだが、やっぱり家族と一緒に過ごす時間は大事で、それが何よりの仕事のモチベーションにつながると再確認できた。
いやはや、疲れたし長時間のフライトを繰り返したおかげでかなりのどが痛いつらい状況が続いたのだが、それでも何となく充実感を感じる旅の終わりだった。

Tokyo 出張 [仕事]

モントリオールの興奮冷めやらぬ中、気付けばそこは成田空港。
思えば1年2ヶ月ぶりの東京、やっぱり日本の空気とにおいは懐かしい。
夜11時半にパリを出発して約12時間強のフライトを経て東京着が夜7時過ぎ。
何か夜から夜へ渡り歩く感じだが、幸い僕自身はここからホテルに行ってもう一回寝るのは何の問題も無し。
とりあえずは全員で成田から品川区のホテルへ。
そしてチェックインを済ませてその日は全員でホテル近くの京都おばんざい居酒屋へ。
初めて、パリのインチキ日本食レストランのメニューとは違う本当の日本食を食べた同僚は「旨い!」の連発。
そりゃあそうでしょう、これがジャパニーズクオリティなんですよ。
そして食事の最後には日本に来るのが初めてという同僚5人に対して無料の抹茶の特別サービスが。
ホテルの接客といい居酒屋でのサービスといい、そのクオリティに驚く同僚達。
確かにパリに暮らしていて久々に戻ってくると日本人ながらそういった細やかな気配りには感心させられるが、これがジャパニーズクオリティなんですよ。

さて、仕事はというと土曜日も含めて3日間ギッチリと詰まったスケジュールであったが、少なくない経費を使ってパリからマドリッドからワルシャワから来ただけの収穫は十分にあった。
一方で少ない自由時間を使って上司と同僚達と自分が生まれ育った国で過ごせた時も貴重だった。
特に僕自身も初めてだった朝の築地市場は良かったな~。

仕事を終えた金曜日の12時に、その日から浅草の妻の実家に戻っていた僕に上司からの電話で「やっぱり築地に行ってみたいので明日の朝6時に築地で待ち合わせ出来るか?」との電話。
約束通り6時に築地市場の正門近くで待っていたのに上司と同僚が到着したのは6時20分・・・まあ、もう慣れてるけどね。

朝の築地市場、特に場内は思っていた以上の real working marketで、所狭しと独特の運搬車が走り回り、想像を絶する量と種類の海産物が満載。

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小一時間ほど場内を見て回った後は場外の寿司屋に入ったのだが、注文直前になって上司が「寒気がするのでホテルに帰る」と行って帰ってしまった。
確かに場内は氷も多く少し肌寒く外も雨が降っていたために体感温度は低かったが、このタイミングで帰るとはさすがフランス人。
でも残ったメンバーは本物の中トロを堪能して、「マグロってこんなに美味しいのか」と感動していた。
これもジャパニーズクオリティなんですよ。

その後は一番仲の良い同僚と浅草寺に行ったり(残念ながら本堂は改装中だったが)、

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みんなで銀座にある僕のイチオシの焼き肉店で和牛を堪能したり、

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とにかく仕事にプライベートに有意義に過ごせた4日間だった。
ちなみに妻の実家で先日既に注文していたVAIO用のドッキングステーションちび太のために注文したビーバーさんの人形に加えて、既にパリから日本のSony Styleに注文済みだったカナダで壊れてしまったデジカメに代わるサイバーショットの最新モデルDSC-HX5Vを無事受け取れた。

このDSC-HX5V、購入を即決したのはAVCHD フルハイビジョン(1920×1080、60i)画質のビデオ撮影が出来るという点と、撮影場所を地図で確認できる、GPS・コンパス機能搭載しているという点。
特に後者はどの国に行っても現地時刻に自動的に修正してくれるし、秀逸な付属ソフトのPMBを使えば簡単に撮影した写真をGoogle Map上に配置してくれるのがすごい。

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しかし、ちび太が生まれたときに10万以上費やして買ったハンディカムを画像と手軽さで遙かに凌駕する"デジカメ"がSony Styleクーポンやソニーポイントを活用したとは言え4万円以下で買えるとは、ただただデジタル製品の進歩の速さに驚くばかりだ。

大満足の成果と短い滞在に少し後ろ髪を引かれつつ東京を後にしたのが日曜日の夜10時。
そして約12時間のフライトを経てパリに到着したのが朝4時半。
そこから家に帰って9時前に出社して、夜中まで仕事をして翌日朝に今度はドイツのケルンに8カ国20人以上を集めて3日間のワークショップを開催するために出発。

旅はまだまだ・・・続く。

ゆーけー [仕事]

今週は前半だけでおなかいっぱいな感じの週だった。
月曜日はプロジェクトのミーティングでUKからプロジェクトスポンサーを含めたイギリス人の同僚3人がパリに来て3時間のミーティング&ブレインストーミング。
そして火曜日は逆にこちらがUKのオフィスを訪ねていくことに。
ユーロスターに乗るのもイギリスに行くのも人生初体験だったのだが、なんせ朝5時起きで7時のユーロスターに乗って8時間ほどフルでミーティングしてパリに戻ってきたのが夜11時という強行スケジュールだったのでさすがに疲れた。

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初めて見るロンドンの街は普段パリを見慣れているせいかそんなに違和感がなかったのだが、やっぱり至る所にパリとは違うもの、何ともイギリスっぽいものが存在している。

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例えばパリと違うもの、メトロ・・・じゃなくてチューブのチケット。
パリのメトロのチケットは日本の地下鉄とそう変わらない大きさなのだが、何故かイギリスのチューブはチケットがでかい。

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日本と違ってパリもイギリスも地下鉄を降りる際にチケットを回収されることがないので(パリは降りるときにチケットを通す必要自体がなく、イギリスは改札で通した後何故かチケットを返される)、この大きさは邪魔だし、なんだかエコじゃない気がする。
地下鉄そのものはその名の通りチューブといった感じで、パリや東京の地下鉄よりも列車が円柱形で内部がものすごく狭いのが印象的だった。

そして地上にはロンドンの象徴的なブラックキャブと赤い二階建てバスが走っている。

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今回は乗る機会がなかったが、次に行く機会があれば是非とも乗ってみたい。
それに今度はちび太も連れてってやらなければ。
というのも、急遽イギリスに出張に行くことになった話をすると、「え~、一緒に行きたい!トーマスの国でしょ?トーマスと仲間に会いたいーーー!!」と無茶苦茶うらやましがられてしまった。

次は一緒にってトーマスとエドワードとパーシーとゴードンとエミリーとバーティーと・・・に会いに行かなきゃ。
みんな実寸大でいたら顔のでかさが無茶苦茶怖いと思うけど。

新規プロジェクト [仕事]

既に3つほどインターナショナルなプロジェクトを抱えているが、今日は新たなプロジェクトを立ち上げた。
といっても、次の赴任先を探すという個人的なプロジェクト。
そして立ち上げたといっても、直属のフランス人上司のディレクターと1時間ほどその件についてミーティングを持ったというもの。
でも、自分が将来やりたいこととそれに向けてこの次の数年間で経験しなければならないと感じていることを共有してディスカッションが出来て非常に有意義な1時間だった。

自分が将来やりたいことは恥ずかしさもあるのでここでは書かないが、その長期的な目標とこれまでの約10年間のビジネスキャリアを照らし合わせた上で次の赴任先に求める必要条件は以下の3つ。
(しっくりくる日本語が思い浮かばないのでそのまま英語で)

1. To be able to have significant experiences of team management
2. To be able to be responsible for operational business results
3. To be able to have another opportunity to work in another country/entity again in the next 5 years

1つ目と2つ目は、自分のこの10年を振り返ると、法人営業の担当者として英語で言うin the fieldでビジネスキャリアをスタートして、そこから数年かけて日本の現地法人の本社部門へ徐々に異動し、そしてグループの本社で既に2年を過ごした今、次に求められるのはもう一度フィールドに近い、言い換えるとオペレーショナルな業務に戻り、かつこれまで経験しなかった新たな経験を積むことが必要だということ。
それが何かというと、自分のチームを持つということ。
可能であれば大きければ大きいほど良いと思っているし、いずれにしても自分が大きくストレッチされる環境に挑戦しなければならない。
さらに2つめについて言うと、ここ数年間マーケティングやストラテジックな部門やプロジェクトを担当してきた今、いったんその流れを自発的に断ち切ってもう一度リアルに実務経験を積むべきタイミングに来ていると感じている。
正直次の赴任先として現地法人における戦略部門をすすめる向きもあるのだが、個人的にはその方向のオファーは全て断るつもり。
これは自分のビジネスキャリアの最終目標にも大きく関わっているのだが、ストラテジックなスキルと現場のオペレーショナルな経験をバランス良く積むことが何よりも重要だと感じているからだ。

3つめはあくまで自分の中の理想なのだが、次の次のステップを経験する前に、1つ目と2つ目の経験を積めた前提で、それを最大限活かしてもう一度違う国(もしくはもう一度フランスで違うポジション)を経験してみたい。
もちろんオファーによっては直接別の国に行くこともあり得るし、現にその選択肢も動き出してはいるが、家族の状況やその他のことも勘案すると、いったん数年間日本に戻ることを挟むのが理想といえば理想。

どこまで自分の希望に沿った選択肢を得られるかは全く分からないが、少なくとも直属の上司を含めたステークホルダーから言われるのは、待っていてはダメだということ。
自分のビジョンを明確にした上で、受け入れ先の意志決定者が決断できるように、自分がどういうポジションに着きたいのか、そしてそのポジションに着いた暁にはどういう課題に対してどのようなソリューションを提案できるのか、そのレベルまで煮詰めた上で人脈も活用しながら交渉するべきだとのこと。
単に待っているだけでは、時にラッキーに恵まれるかもしれないけれど、往々にして得られるべき最大限の可能性からは随分と割り引かれた機会を与えられることが多いと。
これは十分に理解できる。

今日時点でクリアになったこのプロジェクトのスコープを持って、いよいよ本格的に実施に取り組んでいきたい。
さて、どうなることやら。

集大成 [仕事]

そういえばここしばらく仕事ネタがなかったので久々に。
仕事始めからちょうど2週間が経過したが、正直この2週間は働いた。とにかく働いた。
2年前のパリに来たばかりの頃と比べると、3ヶ月分ぐらいの質と量をこなした気がする。

というのも、これまでの現業に加えて、新たなグループ全体の戦略方針に則ってとあるビジネスモデルの全世界的な5年後のビジネス機会を5月までにまとめ上げるという指令を受けているため。
正直年が明けてからというもの、完全にそれにかかりっきりになっている。
そして、その指令の中で一番の難関は、5月の最終成果物はPowerPointのスライド4枚というのが決められていること。
これが例えば100枚でOKともなると逆に楽なのだが、4枚となると極端な話A4サイズの紙で伝えられるメッセージのうち一文字たりとも、数値の一つたりともミスれない。
もちろんここで言うミスとは誤字や脱字ではなくて、論理構成上の破綻のこと。
4枚を通じて明確化するべきストーリーラインの道筋も極めてハイレベルながら提示されているが、当然この4枚にメッセージを結晶化するためにはその背後に数百枚分の根拠付けとリサーチとそれに基づく分析が必要になる。
かつ本社のみで収集出来る情報となると限界があるわけで、少なくとも数十の世界中の現地法人を巻き込んで、最終的なメッセージが関係するステークホルダーが全て共有できるレベルにまで昇華させなければならない。

もちろん考えただけでめまいを覚えるような難題なのだが、2年前と比べて迷うところは少ない。
一つはこの2年間の経験のおかげでこういうグローバルレベルのプロジェクトマネジメントの原理原則や抑えるべきポイントや論理構成の道筋を実経験を踏まえて学んでこれたおかげで、何から手をつけて良いのか分からず途方に暮れるということが無くなったということ。
もう一つは、恐らく今年がパリ滞在の最終年となることを考えると、このプロジェクトがこの3年にわたる本社での経験の集大成となる可能性が高いこと。
つまりこれまでの経験とそれを通じて得た人間関係を総動員してパリでの3年間の集大成として成し遂げてやろうというモチベーションを感じているわけ。

またこのプロジェクトはイギリスの現地法人の役員がスポンサーとしてアサインされており、そのため12月中旬からほぼ毎日最低30分はイギリスチームと話をしながら進めている。
去年はアメリカ人と働く機会が多かったが、イギリス人は同じアングロサクソンでもまた違ったメンタリティを持っていて面白い。
同じ島国だからかは分からないが、彼らの仕事の進め方や物事に対する考え方はアメリカ人よりも日本人にとってわかりやすい気がする。
もちろん人にもよるんだろうけど。

これからしばらくは寝る間を惜しむような時期が続くとは思うが、ある意味終わりが明確に決まっているので覚悟を決めるには楽。
自分のビジネスキャリアの区切りとして、パリでの経験の集大成として、悔いのない時間を過ごしたい。

仕事始め [仕事]

明日は2010年の、そして社会人になって10回目の仕事始めだ。
2000年4月に新卒として今の会社に入社したので10回目となるのだが、数えてみるとまだたった10回だった。
入社して以来営業現場から本部へ、その後マーケティングからパリ本社へと有り難いことに自分の希望もあって仕事環境が2~3年毎に大きく変わってきたので、充実した10年を過ごせた。
今年はまた大きな転機になると思うので、次の10年に向けて良いスタートラインに立てるような一年にしていきたい。

そして明日は休み明け出社初日にして朝から重要なミーティングが満載だ。
休暇前のテンションの高まりも含めて一気に詰め込んだのだが、休み中にエンジンがクールダウンしてしまっているので、うまくシフトチェンジしていけるかどうかちょっと心配。

気分をビジネスモードに切り替えるために半ば無意識で実践しているちょっとしたことにはスーツと靴の選択がある。
これは別に年始に限ったことではないが、なんとなく選んでいるのが、

月曜日: ダークネイビーのスーツ + 黒の正当派ストレートチップ
火曜日: ダークグレーのスーツ + 黒のセミブローグもしくは茶色のストレートチップ
水曜日: ピンストライプ系のスーツ + 黒のフルブローグもしくはモンクストラップ
木曜日: ライトグレー系のスーツ + 黒のUチップ
金曜日: ビジネスカジュアル

という感じ。水・木は割と適当だが、月・火は一定のルールを守って良い週のスタートを切るためにもかなりキッチリ守っている気がする。
パリに来てから殆どスーツも靴も買い足したものはないので、日本にいるときから思えば大体同じようなルールで着ているかも。
着回しのためにも後1~2着スーツが欲しいところなのだが、スーツはブランドではなくサイジングが何より重要なので、ここ数年いつもお願いしている麻布テーラーのような仕立屋で買いたい。
靴は、折角なのでフランスにいる間にソルドの時期にでも1足ぐらい買いたいなあ。

そういえばパリに来ることが決まったときはなんとしてでも靴好きの聖地であるNorthamptonに行ってみたいと思っていたのだが、結局今のところ実現していない。
今年は・・・するのか?

A Milan [仕事]

先週は人生初のイタリアはミラノにて現在取り組んでいるプロジェクトのワークショップを2日間開催し、延べ7カ国から20人以上が集まった。
これまでも既に一人で何度かこの手の会議を開催してきたが、今回はこれまでと大きく違う点がある。
それは、チームでプロジェクトマネジメントをしていると言うこと。
具体的に言うと、社内で他に2人のプロジェクトマネージャーおよび別途コンサルティング会社と包括的な契約に基づく2人のフルタイムリソースの提供を受けている。
その僕を含んだ5人の内訳を言うと、フランス人2人、日本人1人、アルゼンチン人1人、スイス人1人というインターナショナルさだ。
母国語やバックグラウンドは違うけれど、全員が同じ戦略志向を基本的なフレームワークを網羅した上で共有しているので、仕事上の問題は全く無い。
むしろ、よりアナリティカルな日本人とスイス人と(悪く言ってしまえば木を見て森を見ず)、よりエモーショナルかつより高い視座を持つのに適した(悪く言ってしまえばおおざっぱ)ラテン系が適度に混ざっているので、いろんな視点をお互いに出し合ってシナジーを創出出来ているのではないかと思う。

で、肝心のワークショップ。
人生初のイタリアだったのに、あいにく滞在した3日間は全て雨。
しかもヨーロッパの秋冬にありがちな霧雨というよりは日本の大雨に近い土砂降り様。

でも、着いた日の夜にホテルの目の前のレストランで食べたカルボナーラは絶品だった。
残念ながら写真は取れなかったが、シンプルにベストなアルデンテのパスタにカリッとしたベーコンと卵が絡まっていて、故障の風味が効いているといったもの。
生クリームは恐らく全く使っていなかったが、シンプルで本当に美味しかった。
食べながら、「カルボナーラって、パスタでいう讃岐うどんの釜玉やな。」と発見。

肝心のワークショップの中身はここでは差し控えるが、イントロダクションからいくつかのプレゼンを経て、数時間に及ぶチームに別れてのディスカッションとなかなかタフだったが個人的にも得るものの多い2日間だった。
今回は特に参加者が各国の営業チャネルのナンバー2クラスのメンバーだったので、なかなか議論やミーティングをリードするのに苦心したが、でも各自が非常にオープンマインドで積極的に参加してくれたので良かった。

1日目を終えた後に、主催のイタリアの現地法人からディナーの前のミラン市内観光の提案が。

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一番感動したのが、市の中心にあるドゥオーモ(Duomo di Milano)。
大聖堂としては、世界最大のゴシック建築らしい。
ちなみに建設するのには600年かかったという・・・いやはや気の遠くなる話だ。

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ドゥオーモを見学した後は、土砂降りの中を恐らく小一時間かけてレストランへ。
途中アルマーニなどのイタリアの高級ブランドがひしめくスピガ通りなどを抜けて行ったのだが、あまりの土砂降りで正直それより早くレストランに入りたかった。
でも、その道すがら目にして面白かったのが、車の形をした土台に生える街路樹。

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下を覗くと地面とは接していなかったので、恐らく車の中に土や根があると思う。
これが道にずっと並んでいるとなかなかユニークで目をひかれる。

レストランは1600年代創業の由緒正しいイタリアンレストランだったが、うーん、正直料理はいまいちだったかも。
でも、出されたイタリアワインはなかなか味わい深かった。

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こういう席に来るといつも感心させられるのがヨーロッパ人のマルチリンガルさ。
同じテーブルにフランス人3人とスペイン人2人がいたのだが、自然とフランス語と英語が入り交じった会話になる。
隣のイタリア人を含んだテーブルも、イタリア語とフランス語と英語が入り交じってる。
参加した2人のアメリカ人までスペイン語ペラペラだったし、そんな中にいると英語すらなんか気恥ずかしくなってくる。
でも、スペイン人やイタリア人は多少彼らの言葉がわからなくても場を盛り上げるラテン気質があるので、それでも結構楽しめた。

ま、プロジェクト運営組は毎日ディナーの後は12時頃ホテルに戻ってそこから各自電話を繋ぎながら3時頃まで翌日の用意をするという具合だったけど。
ホテルに温泉さえ着いてれば、そんなスケジュールでも全然OKなんだけど・・・それはヨーロッパでは望むべくも無し。

今から日本に帰ったときに草津や他の温泉街に行くのが楽しみで仕方ない。

la semaine francaise? [仕事]

今週は実にフランス語の一週間だった。
月曜日から新プロジェクトのミーティングがぎっしりで、複数のフランス人マネージャーとチームでプロジェクトマネジメントをする=必然的に全てのミーティングがフランス語オンリーに。
しかもメイントピックがどんなデータをしてかなりの数のプロジェクト指標を計算し、モニタリングしていくかというような内容で、数字とその定義について侃々諤々の議論を繰り返した・・・これはキツい。

水曜日と木曜日は年に一度の部門のオフサイトミーティング。
去年は金融危機の真っ直中にもかかわらずモナコのモンテカルロで開催という、何となく後ろめたさを感じざるを得ないような豪奢なものだったが、今年はフランス国内・・・といっても、これまた素晴らしいところ。

泊まったホテルはこちら。
ロケーションもサービスも食事も素晴らしかった。
http://www.bastide-de-gordes.com/fr/hotel-gordes-provence/hotel-charme.php
場所的にはプロバンス地方で、Avignon(アビニョン)とMarseille(マルセイユ)とNice(ニース)のちょうど中間地点にあるGordes(ゴルド)と言う丘の上の小さな街。
・・・というか、行った街の名前と場所を今ブログを書きながらメールを調べて初めて知った・・・。
前日の夜遅くまでかなり忙しかったので、荷物だけ詰めて後はリヨン駅の集合場所に行ってTGVとバスで連れられるままにして行ったからなあ。

ちなみに南仏は初めてだったが、街並みも景観もまた他の地域と全然違っていてすごく印象的だった。
ちなみにホテルの部屋からの景色はこんな感じ。

しかし2日間のアジェンダがこれまた何ともフランス式。

1日目
11h30 ホテル着
12h00-13h00 ミーティング
13h00-14h30 ランチ
14h30-15h30 ミーティング
15h30-19h00 自由時間
19h00-20h00 ミーティング
20h00~ ディナー

2日目
9h30-12h30 ミーティング
12h30-14h00 ランチ
14h00-15h00 自由時間
15h00~ 出発

え、ええええええ!?と思うでしょう。僕も思ったし。
でもこれがフランス。しかもディナーがすぐ2時間くらいに伸びるから、結局かなりのミーティングタイムがすっ飛んだ。
とはいえ、ミーティング中は100%フランス語で、部門唯一のノンフレンチスピーカーとして必死にがんばってヒアリングしたが、やっぱり違う国の言葉を集中して聞いているとエネルギー消費がすさまじく、マジでヘロヘロになった。
特に1日目は現地の営業チャネルのマネージャーを集めて、グループ本社の取り組みが営業現場でどのように受け止められているかを聞くというものだったのだが、このマネージャー達(5人)がしゃべるしゃべる・・・日本ではあり得ないくらい前のめりで議論しまくりなのが、なんともフランス人的というか。

2日目の午前中のミーティングでは外部のコンサル会社を招いて金融業界に限らない消費者トレンドの変化とそれに対応した最新のセグメンテーションアプローチに関する物だったのだが、これはまさにいつか日本に帰ったらやってみたいとずっと考えていた方向性と合致したので、聞けて良かった。

そして金曜日の今日は朝から晩まで分刻みのデッドラインに追われながらミーティング→資料作成→ミーティング→資料作成・・・の繰り返し。

これは疲れを取るために週末はちょっと良いワインでも飲まなあかんでホンマ・・・って言い訳?


in-depth concentration finally makes it happen at the end of the day.... [仕事]

まだまだ時間があるうちは不安な気持ちもあるのだが、大きな勝負の場がいよいよ迫ってきて1分1秒を争う状況に迫ってくると、スッと覚悟が決まる瞬間がある。
この数日間、来週月曜日に各国を集める会議をするというのに直前になってどうしても大幅にスケジュール変更をせざるを得ないようなありえない状況になり、かなりフラストレーションのたまる状況が続いたがそれも何とかまとめきり、後は本番を迎えるのみとなった。

今年の1月末にも8カ国20人以上を集めて2日以上のワークショップを開催したのだが、今回はさらに自分から一段階上にチャレンジしてみた。
それは、アジェンダ、プレゼン内容、結論、各国およびパリ本社内でのコミュニケーション、全てを一人で行い、当日の内容すら上司とも事前打ち合わせを持たないということ。
というのも、6月頃だったか、あるミーティングで準備不足があったこともあり、「正直言うと、もうちょっとリーダーシップを発揮してくれると思ったんだけど。」とポツリと上司に言われたのがきっかけ。
それまではどこか自分の中でもうっすらと、英語すらまだまだ至らない中でほぼフランス人だけの環境の中で世界各国とコミュニケーションしながら、まあがんばってるんじゃない?という甘えがありながらも自分で自分をごまかしながらやっていたところもあっただけに、これにはグサッと来た。

で、決心したのは、次は言い訳せずに全てを一人でやりきろうと。
その後の数週間は、いったん言い訳しないという覚悟が決まると、それまでの何となく過ごしていた時間とは違った濃さの経験値を積めるんだなというのを改めて実感した。
またそうやって覚悟を決めると、自然と自分の中で24時間当日の状況を想定しながら寝ても覚めても如何にその場の価値を最大化するか、そういう会議運営が出来るか、そして役員を含めた世界中から時間とお金をかけて集まる意志決定者に対してプロジェクトマネージャーとして良い意味での衝撃を与える洞察力に満ちた視点を提供できるか、それをひたすら考えに考え抜くことになる。

覚悟が決まるまでは不安以外の何物でもないが、いったん決めてしまえば後は考え抜くのみ。
これが意外と楽しくて、早朝からランチをするのも忘れて深夜まであっという間に時間が過ぎる。
そしてこれまた意外なことに集中しまくっていると、英語ですら拙いレベルでしかないのに言葉の問題はもはや一番の障害ではなくなる。
そうするといろんなミーティングで意見を聞きたいといってゲストで呼ばれることも増えるし、そこで何かしらヒントとなるコメントも自然に出来るようになってくる・・・気がする。

まだまだ週末もかけて来週月曜日の12時間以上に渡る会議運営について考え抜く必要はあるが、それをうまく終えられるとまた少しだけ何かをえら得るような気がして、それが今から楽しみ。
しかも今回は日本からの参加者がいないため、完全にドアウェーの中でアメリカやヨーロッパ主要各国をリードしていくというのもむしろウェルカムで今から興奮するわ-。
でも、最後の最後心の奥底にある思いを吐露すると、日本人として誇りを持って圧倒的なまでに優秀さを見せつけてやるという自負心。
というかそれくらいの迫力とテンションがなければラテン系の人々や他のアジア各国から来る個性豊かなメンバーをまとめていくのは無理だし。

問題は頭の中で当日のシミュレーションに集中しすぎて、気づくとメトロの中や路上で結構大きな声で身振り手振りを交えて一人でブツブツ言ってることかも・・・確実に怪しいアジア人やな。

緊張感 [仕事]

バカンスが終わったと思ったら、予定通りではあるのだが一転して無茶苦茶忙しい。
週末もしばらく仕事におわれる日々が続きそうだが、グワーっとプレッシャーを受け続けている方がなんだか体調が良いのがなんとも・・・。

プレッシャーと言えば、今日は朝から上司のディレクターが明らかに極度の緊張の中にいた。
なぜなら、今日は1月の就任以来僕を含めて4人のチームメンバーやコンサルタントと膨大な時間と労力を費やした戦略プロジェクトのトップマネジメントへのプレゼンがあったからだ。
公のBlogなので詳細は差し控えるが、我々のチームが担当しているのがチャネル戦略。
世界数十各国で展開してる多種多様な営業チャネルを、将来を見据えながらグローバルにそしてローカルに推進していくかがチームの至上命題となっている。
その大上段の戦略目標の下に個別のプロジェクトを立ち上げ、回していくのが我々プロジェクトマネージャーの役割となる。

そして今日その大上段の戦略目標(こういうビジネスストラテジックな用語を日本語にすると昭和初期の軍隊用語になってしまうので違和感があるのだが)をプレゼンする相手は、世界中の10万人を優に超える従業員の頂点に立つ数人のトップマネジメント達。
緊張するなという方が無理なわけだ。

プレゼンの場には上司とその上司になる部門のヘッドが臨み、我々は自席で通常業務をこなす。
1時間半ほどして上司が帰ってきたが、明らかに顔が紅潮していてせわしなくリンゴを丸かじりしている(日本人的にはここにもツッコミどころが 笑)。

聞くと、予想を遙かに超える積極的な議論が相次ぎ、緊張感を保ちながらも全員参加型のプレゼンになったとのこと。
トップマネジメントがそこまで深く入り込んで意見をぶつけ合うということは、それだけ深く刺さる提案が出来たと言うことであり、ここまではOK。
ただ、肝心の意志決定はと言うと、事前に用意した意志決定を依頼する項目や資料を超えた議論が続き、結局「次回いくつかのトピックについてさらに突っ込んだ議論をする」事が決まったとのこと。

・・・デジャヴというか、まさに日本で働いていたときにフランス人役員にプレゼンしたことが、スケールこそ違えど繰り返されたと言うのが第一印象。
当時は日本人同士で「で、結局いつまでに何をすればいいの!?」と途方に暮れた場面も多々あったが、今まさに自分のフランス人上司が「良い意味でも議論が紛糾しすぎて議事録をどう書けばいいのか・・・」なんて悩んでいるのを見ると、なんとなく安心するような気がした。

とはいえ、今年の年末までに主要国のヘッドと十分に議論をした上でさらなるプロポーサルに落とし込むには無茶苦茶時間がないのも事実。
来週は一人で8カ国20人のゼネラルマネージャーとのワークショップを主導しなければならないし、その後は新興国も巻き込んで新しいプロジェクトのキックオフ、その1週間後には主要国の営業ヘッドとのボードミーティング、そして新たな戦略決定のためのビジネスツールの最終化と、しばらく眠れない日が続きそう。

さらに体調が良くなりそうで、怖いわ、ほんま。

Midterm review [仕事]

今日は朝からチームのオフサイトミーティング。
とは行っても金融危機の影響か、結局オフィスから近いホテルの一室を5時間ほど抑えたと言う形になったが、職場から離れて小さな部屋にこもって意見を出し合うというそのスタイルこそが重要なので、場所はどこでも良いっちゃあどこでもいい。
限られた人にしか教えていないBlogでありながら別にパスワード規制などを設けている訳ではないので、仕事のことについて書くときは結構神経を使うが、今のチームはプロジェクトマネージャー4人にアシスタント1人、ディレクター1人の計6人という非常にこじんまりとしたもの。
その限られた人数で成熟市場および新興国含めて30カ国近い国と一人平均2-3のProjectを担当しているので結構忙しい。
自ずからチームミーティングの議題は、ヘッドクォーターとしての役割と、あるべき仕事配分、達成するべき成果物、そして組織のあり方という普遍的なものに。
ただ、問題は僕以外の人間が全てフランス人なので、冒頭にいつも聞かれる質問が・・・「フランス語で会議をやることについてどう思う?」
一昨日のシャンパーニュ地方への小旅行においてもん日本人の諸先輩方から「フランスにいるからにはフランス語で仕事もこなさなきゃダメよ!」なんて耳が痛いほど諭されたせいもあり、上記の質問の返答に加えて、「夏のバカンス以降は全てのミーティングをフランス語でやるのでみんなよろしく。」なんてしなくてもいい宣言をしてしまった。
まあ、そうでもしないと幼稚園に通っている息子にも追い越されかねない状況なので、覚悟を決めるしか無かろう。

で、会議自体は非常に有意義に進み(今回は自分の発言は英語でしたが、フランス語の質問を誤認して多少とんちんかんな発言を長々とした一幕もあったが、今さら気にしない!)、無事終了。

午後は前回のBlogで書いた先輩とオフィスで少し会う時間が作れて、久々に入社したころを思い出し、その後今のフランス人上司と1対1のミーティングに。
結局1時間の予定が2時間になったのだが、何かというと、日本語で言う中間振り返り面接だったのだ。

これまでにも書いたとおり、フランス人上司は如何に部下のモチベーションを高めるかと言うことを常に念頭に置いていると思う。
その流れを汲んでか、ミーティング前半はこれまでの成果のポジティブな振り返りといった感じで進んだ。
その後現在しかかり中のProjectの話になったのだが、僕からも正直な感想をお願いした結果、いくつか上司として改善の余地がある項目を素直に語ってくれた。
その全てが自分としても至らなさを感じていただけに、とても素直に聞けたし、また正直「言われなくても反省してるし、じゃあどうやって改善するかと言われると、役員会の突然の延期で生じた遅延について責められても、そんなの僕の責任範囲じゃ無いだろう!?」といった色々な想いが交錯したが、こういう時は素直に言われたことを咀嚼して自分の中で消化しきる事が大事。
もちろん言うべき事は主張するが、「じゃあ100%代替策を持てなかったのか?」と言われると「こうすればもう少し良い結果が生まれたかもしれない」という方策がゼロなわけではない。

ミーティングの後は正直思い出して咀嚼する度に、自分で痛切に自己反省していた部分もあるだけに、屈辱的な気持ちで紅潮するような想いもあるが、それを噛みしめてもそうやって諭してくれる上司がいることを有り難いと思わなくてはならない。
自分が足りないことをきっちりと指摘してくれる人がいるというのは本当に有り難いことなのだ。

そして、自分としても密かに反省していた部分と重なるだけに、改善していくことに迷いも無くなったし、そう言う意味では実に意味のあるミーティングだった。

パリでの駐在期間も予定の半年を過ぎたので、ここからは先は如何に環境に慣れるかを卒業して、如何に自分の職務の中でグループ全体に対して付加価値を創出出来るかに注力していきたい。

Appropriate Delegation of Authority [仕事]

何とか今のところ豚インフルも発症しておらず、仕事の方でも来週のボードミーティングに向けた準備が今日一段落した。
今の仕事は言うならば季節職的なところがある。
意志決定や方向性を協議するミーティングの前数週間はかなり忙しくなるのだが、その合間はフッと気が抜けたように仕事量が減るときがある。
担当している複数のプロジェクトでそういった波が交互に来てくれるのが理想なのだが、なかなかそうはいかないもの。
大体ピークが重なって土日もなくなるパターンが多い。

とは言え、忙しいのは暇よりも遙かに良い。
元々仕事のための仕事を作るというのが嫌い・・・と言うと聞こえが良いが、まあ苦手なタイプなので、手持ちぶさたになると必要になるかもしれない市場分析をまとめてみたり、散在している資料を読み込んでみたりするのだが、当然それによってグングンとモチベーションがあがる訳ではない。
結構そういう時期に作った資料が後々突然の依頼に役だったりすることも多いことは確かなんだけど、そんなのはわざわざ平日の業務時間を使う必要もない。
まあ、そんなことは来週以降杞憂になると思うのだが・・・というのも、来週のボードで今後各国とのコミュニケーションの質・量を今までの数倍にする提案をするからだ。
で、それを誰がやるの?となると、たった2-3人のチーム事情から考えても答えは明白なわけで。

とにかく、ここ数週間は忙しかったが充実していたな。
何より、上司であるディレクターとかなり毎日一緒に作業をして、議論をしてきたので、お互いの理解がすごく深まったことが収穫だった。

最初は少し取っつきにくい感のあるところもあったが、部下への権限委譲が積極的で、部下にとってはチャレンジングなことも多いが、モチベーションと責任感はものすごく高まる。
やり過ぎは双方にとって逆効果だが、ポジションが人を作るというのは当たってると思う。

いろんな国の人と働くと、色々なマネジメントスタイルが経験できるのが一番の財産かもしれない。


モチベーション [仕事]

今週は疲れた。
上司が東欧に出張だったこともあって、一人でヴァーチャルスクリーンを使ったのべ10カ国との会議も数回こなしたし、大量の資料も作った。
フランスの現地法人に行ってディレクター相手にフランス語でプレゼンもしたし、今日金曜日も22時過ぎまで真っ暗なオフィスで一人働いていた。
でも、何より疲れを感じたのが、昨日のマーケティングの同僚に告げられた事実。

かれは8ヵ月ほど前に銀行からの中途採用で入社してきたのだが、昨日突然告げられたところによると、なんと今日で退職するとのこと。
理由は、彼のディレクターが試用期間(6ヵ月)での解雇を決めたからだ。
とはいえ、彼の仕事の質が低かったかというと、正直仕事上はそれほど緊密な繋がりがなかったのでわからなかったが少なくとも席が近い位置から見ている限り、すごくまじめだしこれまでのキャリアとしても十分貢献できるものを持っていたと思う。
じゃあなぜ解雇かというと、他のフランス人の同僚も同じ認識なのだが、多分に個人的政治的な決断があったように思う。
今週来月からの新組織が公式に発表され、5時間近い部門会議(フランス語オンリー・・・)があった訳なのだが、ここ数ヶ月でこれまでキーパーソンだったディレクターが異動した関係もあってか、なんだか色々勘ぐってしまうような内容になってしまっていた。
職場の同僚も同じような印象を受けたらしく、今日は彼の送別会もあって数人だけの社外ランチに誘われたので色々話ができた。
正直フランス語だったので半分も理解はできなかったのだが、少なくとも同僚の感じていることが日本人である僕と殆ど同じということはわかった。
改めて思うと、こうやってフランス人の中で仕事をして、ともすれば愚痴っぽい内々の会にも声をかけてもらって一緒になって話をするという経験は、ある意味で自分の人生にとっても新鮮だった。

でも、思ったことは、やっぱり組織運営とモチベーションの維持というのは難しいと言うこと。
システムと運用、そのどちらがかけてもダメだし、運用においても多分に関係する人の人間性、価値観が大きく影響するのはどうやら万国共通らしい。

でも今はそんなことより、個人的にも好意的に思っていた彼が(実際うちにも招待したし)彼が辞めたこと、そして実は解雇を昨年末に既に通告されていながらもこの数ヶ月それを誰にも言わずに周りにからず接してくれていたことが、ただただ寂しく切なく感じてしまう。

これまでも思っていたし、そして改めて心に決めたことだが、もし自分が将来日本以外の国に責任のあるポジションで行く機会を得られたとしたら、どんなに大変そうでも少なくとも最初の1年は一人で乗り込まなければならないと言うこと。
気の置けない身近な人と行くと、どうしても現地の人たちとの人間関係が難しくなるし、今回は同じケースではないにしろ、現地の人から見て今回のようなモチベーションの低下につながるような結果につながりやすいと思うのだ。

そんな機会が与えられるかどうかはわからないけど、そうなったときにどうするか、もし自分がディレクターだったらどうするか、それは常に考えながら過ごしたい。

でも、本当に残念だな・・・・。

数字 [仕事]

海外での仕事が1年4ヶ月を過ぎ、何とか自分の守備範囲(=マーケティング、市場動向、セールス等)であれば自己主張や議論することも苦ではなくなってきた。
そんな中、他に日本人もといアジア人がいないこともあって、部門横断的かつかなり戦略的なレビューミーティング等にも参加する機会が増えてきたのだが、改めて難しさを感じる場面がある。
何かというと、議論が財務的な側面になってきた時だ。
Gross Written Premium, Net Present Value, Embedded Value, Turn Over, Threshold...といった財務的会計的な用語の定義も混乱する要因だが、何よりも数字がパッと浮かばない。
その理由は、桁の数え方が日本語と英語・フランス語で大きく異なるから。
以下にメジャーな桁区切りを示してみると、

日本語     英語・フランス語
一       1
十       10
百       100
千       1,000・・・ここまで同じ
万       10×1,000(ten thousand) 
十万      100×1,000(one hundred thousand)
百万      1,000,000(million)
千万      10×1,000,000(ten million)
一億      100×1,000,000 (one hundred million)
十億      1,000,000,000 (billion)
百億      10×1,000,000,000 (ten billion)
千億      100×1,000,000,000 (one hundred billion)
兆       1,000,000,000,000 (trillion)・・・ここで揃う

つまり、日本で一番基本となる万、十万、億、百億といった単位が、千・百万・十億の倍数となるわけだ。
しかも、英語だけならまだしも、フランス語の数の数え方が非常に複雑なのは以前紹介したとおり。
たとえば80は4かける20と数えるし、これが重なってたとえば「8千万ユーロ」の金額は日本と比べてどう?と聞かれようものなら、「4×20×1,000,000で、それを1ユーロ125円換算で・・・」と、さっぱり桁感覚がつかめない。
正直議論が多分に財務的になって来た時は「こっちに振んなよ・・・頼むから」と心の中で願ってしまう。

慣れるしかないんだろうが、なんかいい解決法があったら誰か教えてくださいまし。

エネルギー切れ [仕事]

今日はなんだか朝から気分が盛り上がらなかった。
まさにエネルギー切れな感じ。

最近は慣れてきたが、それでも母国語以外で一日中過ごしていると、木曜日の午後から金曜日にかけて完全にガス欠状態になることがある。
今週は久々にそんな感じ。
そう言えば火曜日に夜8時過ぎまで部門ミーティングがあって、そこからさらに全員でディナーに行ったりもしたから、そもそも疲れてたし。
といいながら、なぜかその店にカラオケが設置されており、勢いで久々にBon Joviを熱唱するなど、結構楽しんだけど。
次の日からなぜか「スター」と呼ばれて、なんかキャラ設定が・・・にしきの?

とは言え、今日はとある資料を各国に送付するデッドラインでもあって、そこでちょっとしたトラブルが。
というのも、僕自身は10日前には既に全てを仕上げて関係者に送っていたのだが、ディレクタークラスになるとみんな無茶苦茶忙しいのでなかなかすぐにフィードバックをもらえない。

結局上司とアメリカの現地法人の役員から別々にコメントがあったのが期限である今日の夜7時前。
しかも問題はそれぞれの修正案が部分的に相反していて、にも関わらず両者を交えたミーティングを持つことはもう無理だという点。
しかも個人的には妥協したくないポイントだったので、容易な折衷案に落とし込むのも嫌だ。

かといって約束のデッドラインを超えるわけにはいかないし、というのも結局各国と相対してるのは僕な訳で結局僕に対する信頼が損なわれてしまうわけだ。

フランスを含めて(ここがそもそもの問題だったりするのだが)ラテン系の国はあまり気にしないが、さすがというかスイスとドイツからは「2週間前に今日中に送ると言っていながらまだ届いてないが、その認識で間違いないか」という確認メールも来てるし・・・。

こういう状況はマジでイライラするわ。

結局多少自分の思いを押し切って先ほど各国へ送信したが、来週以降反応が楽しみだ。


誰がために・・・ [仕事]

ここ最近担当しているプロジェクトで2日間のワークショップを開催したりと忙しかったわけだが、そんな中で今部門全体の見直しを図っている。
キーとなる自分たち自身に対する質問は、「全員が相当ハードに働いているし、確かに見た目の成果はあるが、それが本当に顧客に価値を与えているのか?」というもの。
当然グループ本社である以上、顧客というのは各現地法人でありまた本社内の他部署でもある。

各自が相当パンパンなプロジェクト運営を必死にこなしている中で、「ちょっとまて、そもそも自分たちの作業に本当の意味はあるのか?」と問いかけるのは相当にタフなことだが、その本質的な質問から逃げずに議論する文化があるのは素晴らしいことだと思う。

当然どうしても自分たちだけではどうしても主観的な視点になってしまうため、第三者であるコンサル会社がその見極めをするという徹底のしようだ。
もちろんそれにはコストが絡むので、ここは賛否両論あるところだが。

しかし、世界的な金融コングロマリットの本社で働いているメリットというべきか、名だたるコンサル会社がエース級を貼り付けて日々分析・提案をしてくるので、放っておいても彼らのフレームワークや分析手法に触れることが出来る。
コンサル会社=机上の理論と決めつけてしまう向きもあるが、その頭脳とノウハウだけに時に数千万~億を超えるお金を払うだけあって、物事を効率的かつシンプルかつ効果的に突き詰めていく手法は学ぶべきところが多い。
ただ、ある程度のレベル以上になるとどんな新しい分野でも取り組むべき一定の方向性・アプローチは普遍的なものに近づくので、価値としてはフレームワークから持っている情報の希少性・即時性に移っていくわけだけど。

閑話休題。
常に自分は今この瞬間に付加価値を生み出しているのか?本当に本質的な価値があるのか?を自問し続けることは大事。
ともすればこれまでやってきた「業務量」に価値を求めがちだが、それが付加価値を生まないのであれば結局何の意味もないということを認める覚悟は常に必要だ。

先日ふと思ったのだが、特に金融機関といったサービス業に従事していると、頭ではわかっていながらこの視点がおろそかになりがちだ。
農業や漁業といった第一次産業で「俺は今日も海に出て、時化だし船はぼろいし大変な思いをしてきたんだ!」といくらいったところで、肝心の魚が捕れていないのであれば生計を立てることは出来ないわけだ。
でも不思議と会社の中では組織論やセクショナリズムや、俺は一生懸命やったんだといった自己暗示がまかり通ってしまう。
その危険性に気がつけるか、周りがそういった中で如何にそういった危険性に気がつけるかが、会社としてそしてまた個人としての将来を分けるんだと思う。

いつか読んだ本の中で見た、ある意味座右の銘とでも言うべき言葉があるのだが、「エリートとは高学歴の人間でも優秀な人間でもなく、自発的に組織に対する責任感を感じることのできる人のことをいう」というのは、まさにその通りだと思う。

en qualite de chef du projet [仕事]

なんだかんだで2週間も空いてしまった。
なんとか生きとりますんで、ご心配なく。

なぜ空いたかというと、単に無茶苦茶忙しかったから。
正直この2週間は毎日家に持ち帰って深夜までという日が週末も続いてしまった。

その理由は、一昨日昨日とパリで開催した自分のProjectの2日間のワークショップがあったからだ。
合計8カ国からのべ20人以上が参加して世界的にビジネスモデルを変えていくための議論とプレゼンをトータルで12時間するというハードなものだった。

用意した資料もパワーポイントで200枚を超えるものだったが、その準備もプレゼンも当日の仕切りもかなりの部分を一人で行ったので、なかなかタフだった。
しかも自分はもちろん日本人で、フランスの本社で働きながらこのProjectについてはアメリカの現地法人の役員がスポンサーなので彼に対して働くという特殊な状況。
全員が違うバックグランドを持ってるし、文化も違う。
きっとみんなほとんど同じことを言ってるのだが、言葉も違うので最大公約数的なアプローチをすべきか最小公倍数でまとめるか、演繹法的にするか帰納法的に行くか、アクションに対して合意するか、コンセプトもしくはプロセスに対して合意するか・・・悩みどころの多い準備期間だったな。

当日はさらにイタリア、スペイン、ドイツ、スイス・・・と言った国々が参加し、さらに多様性が増し、本当にいろいろな価値観やアプローチがあるなあと自分の中のステレオタイプを壊すのにも大きく役立った。

でも、この金融危機の中グループの会議に参加するくらいなので、性格やタイプは様々に違えど、全員が各国のエース級なわけで、中にはビックリするくらい頭のいい人もいて、そういうモチベーションが高くて能力のある同僚と同じ時間を共有できたことは本当に人生にとってかけがえのない時間になった。
一瞬結論が妥協の産物になりかけてかなり緊張が走ったが(本社内で結論を伝えていくのは自分の役割だし)、何とか最低限の実りある合意が出来たように思う。

日本からも一番来て欲しかった後輩が参加してくれたおかげで他国へのいいアピールも出来たし、まあまずまずかな。

何より初日のディナーに「こんだけ準備してるんだからメニューとワインは選ばせろ」とゴネたおかげで、今まで飲んでみたかったワインをしこたま飲めたし。

でも、直前の2週間のプレッシャーとタフさはしばらく味わってなかった張り詰めた感があった。
導入部分から2日目のNext Stepsに至るまでを前日になって初めてスポンサーのアメリカ人役員に通しプレゼンをしたのだが、そこで納得してもらえないとすべての努力と各国へ指示してきたことに対する彼らからの信用を失うことになるので、ここは気合いが入った。
しかも彼は某有名大手コンサル会社でパートナーを何年も務めていたので、最初にそれを聞いたときはさらにAmazon.comでそのコンサル会社のフレームワークや戦略に関する本を買い漁って改めて勉強にもなったな。ニコリともしない彼が2日間を終えて帰る間際に"You did a great job"と言ってくれたのはうれしかった。

前日は緊張と興奮で3時過ぎまで寝れなかったのだが、まあ何とか終わってよかった。

他の国のメンバーから「こんな大変なことよくやるねー」と言われたが、当日必死に議論をしながらふと思ったのは、たぶん僕はこういうのがそもそも好きなんだろうなということ。
自分が描いた絵を他の人に伝えて、それぞれの事情や背景を考慮した上でまとめ方を考えていく。

でもこういうのって、定期的に深海数千メートルの水圧のような無茶苦茶なプレッシャーを感じて乗り切って行かないと、絶対に成長しないスキルだと再確認した。

ただ、終わったら開放感があるだろうなと思っていたのだが、意外とそれがない。
終わったら終わったで次回のことを考えたくなってしまう・・・仕事人間にはなりたくないやけど。
とは言っても昨日は後輩とパリのオペラ座近くのワインバーで散財しまくってしまったが。

でもやっぱり、関西人の「ま、死にゃあせ~へんし」という気持ちのもちようはホンマ大事やね。

Je suis très occupé! [仕事]

最近、マジで忙しくてBlogを書く暇もなかった。
ちょうどこの時期、10月~1月にかけては新年度に向けて各種ボードミーティングが密集しているのがその理由の一つ。
今年前半に担当した(今も引き続きしているけど)いわゆる調査系Projectの成果物が認められ、念願のオペレーショナルなProjectのマネージャーにアサインされたのだが、参加10カ国のビジネスモデルおよび市場の多様性を包含してProjectを牽引していくのになかなか苦労している。
無から有を生み出すような苦労も去ることながら、自分の仮説およびそれに対するアプローチを多くのステークホルダーに納得させるのが結構大変なのだ。
当然フランス人を初めとした欧米の人たちは、自分の意見を明確に主張するし。
ただし、これについては自分の意見があるのかないのかを含めてはっきりしない日本人よりもいいと思うけど。
そういった物事を考える順序、各項目をどこまで詳細化するか、そしてプレゼンテーションをどこまで深掘りするか(かなり意識していても、日本人の性ゆえに欧米人にとっては細かすぎるレベルまで資料を作り込んでしまう・・・簡単に言うと文字が多い)、そして言葉自体の問題など、乗り越えるべき壁は多い。
今日もミーティングで話を始めると、参加者が英語が得意ではなかったため「すまないけどフランス語でやって」といわれ、もう必死のパッチだし・・・。

ただ、今のところ無茶苦茶忙しいにもかかわらず毎日の業務が楽しく感じられているのが救いだ。
どんなに厳しくても、少なくてもオペレーショナルなグループのProjectでマネージャーを担当しているアジア人が他にいないことが何よりのモチベーションになっているに違いない。

おかげで、日本に帰っても年末および年明け早々日本のオフィスから数時間のテレコンを一人実施しなければならなくなったけど・・・これは帰り際に深夜のラーメン&ビール決定やな。

Big Guys [仕事]

ここ数ヶ月の1番のビックイベントが月・火の2日間で終わった。
パリにあるシャトーで、世界各国の営業チャネルヘッドを集めたボードミーティングだ。
主催はうちチームで、つまりは2日間プレゼンと議論が永遠と続いたというわけ。
終わってみれば会社としても非常に有意義だったと思うし、何より個人的には貴重な経験ができた。

一現地法人で働いていれば、参加者のうち一人と話す機会もそうそうないわけだが、そんな人たちが一堂に会した場で自分のProjectをプレゼンし、方向性について議論し、意志決定がされていく。
各参加者が戦略理論を持っているし、論理的な思考をするし、何よりも営業部隊を率いているリーダーシップをすごく感じる。
そういう人たちが議論を交えて物事を決めていくわけだが、その時間の濃密なこと。

そんな中、2日目の朝からフランス現地法人の社長でグループのトップマネジメントでもあるフランス人が加わったのだが、そのインパクトはすごかった。
それまで十分にオーラが出ていたドイツやフランスのチャネルヘッドが決めた決定事項に参加してすぐ違和感を感じ、本質を突いた質問をズバっと指摘し、結局結論を180度変えてまとめ上げてしまった。
決して権力を盾にしたやり方ではないし、そもそも英語力だけで見ると参加者の中でもかなり低い(失礼)のだが、その場にいた全員が「まあ、これは仕方ないか・・・」と何となく共有していた妥協をピンポイントで探り当て、「それを仕方ないで済ますんだったら、この会議の存在価値はゼロだ。」と言い切った。

状況把握力と、自分を含めた関係者に適度なプレッシャーをかける覚悟と、そのメリハリのきいたリーダーシップには、なる程これをして今のポジションにいる訳だと素直に納得させられるだけのインパクトがあった。

事前準備や調査はできる限りやりつつも、ビジネスにはタイミングが何よりも大切。
その一方で誰しもが決断できるレベルまで情報が集める頃には、機を逸してることがほとんで、だからこそマネジメントは不確定要素がある中で意志決定をせざるを得ない。
そういう状況に日々身を置く人の覚悟と芯の強さを目の当たりにできたのは、いい経験だったなあ。

まあ、僕は一度壊れたiPodを買い直すべきかどうかかれこれ1年以上悩んでいるんですけど。

Mon chef [仕事]

Finalment, j'ai passé une bonne journée hier.

昨日は、新しくGroup Project ManagerにアサインされたProjectの1回目のキックオフミーティングの日だった。
当初2日間のワークショップをパリで開催する予定だったが、昨今の世界的な金融危機の影響などもあり、最終的にまずは2時間のビデオ会議となった。
ちなみに、このプロジェクトに限ってはスポンサーがアメリカの現地法人となっているため、組織上はアメリカ人の役員に対して働いている形になっている。
最終的に参加した国は、ヨーロッパ各国とアメリカ、香港、日本を含めて計10カ国。
それぞれの国で2人ずつProject Memberを決めてもらい、先月はそれぞれと2回ずつ、1回1時間の電話会議をこなし、会議資料の準備も一人で行ってきた。

で、いよいよ全員が一堂に会する(といってもビデオだけど)1発目のミーティング。

ビデオということもあり2時間という限られた時間ではあったが、週末を費やして前日夜中まで準備した甲斐があって、非常に有意義な議論ができた。

その後は、別の会議で計10カ国30人ほどの前で1時間のプレゼン。
ビデオもプレゼンもフランス人上司と二人で行ったが、結果的には日本での経験を含めてもトップ3に入るプレゼンができた(と思う)。
プレゼンの数分前になって、急遽話を変えて、ジョークを交えた話ができたのがこの数ヶ月の経験の成果と言えるかもしれない。

いずれにしても改めて思ったのが、僕自身が如何に今のフランス人上司を尊敬しているかということ。
本当に彼の元で働けたこの1年間は、社会人人生にとって最も意味深く、学ぶことが多い1年間だった。
そんな上司が言ってくれたことで、おそらく生涯忘れない言葉がある。

冒頭のビデオ会議で、上司がアメリカのトップマネジメントに対して、「そちらのプロジェクトマネージャー(アメリカとの共同プロジェクトなのでアメリカ側にもプロジェクトマネージャーがいる)はあなたの右腕ですよね」と話しかけたのだが、彼の答えは「たくさんある右腕の一つだよ」というものだった。
思わず、「日本には腕をたくさん持っている千手観音という仏様がいるのですが、あなたはそれくらい素晴らしいポジションにいるわけですね!」とチャチャを入れようと思ったが、ギリギリで「宗教の話は止めとこう」と思いとどまった。
これもまたこの1年の進歩かもしれない。

で、感動したのは、2回目のプレゼンで上司が僕のことを「He is my right hand」と紹介してくれたこと。
多くの優秀なフランス人部下を抱える彼がこういってくれたことが、思わず瞬間的に感極まる程うれしかった。

そしてプレゼンを終えて、社内の中庭を歩いている間に彼とプレゼンの成功について落ち着いて話したほんの数分は、きっと一生忘れないだろう瞬間だった。
1年半前に初めて電話して、翌日パリに来て初めて会って、いろんな選択肢があった中できっと彼にとっては一番ハードルが高かったであろうどこの馬の骨とも知らない日本人を選んでくれて、そして時には議論して過ごした一年間。
僕としても経験したことのないストレスを感じながらも、何とかもがいてきたと言える1年間だった。
大変ではあったけど、僕にとっては何物にも代え難い時間だった。

というのも、実は来年頭には彼が別の部門(というか別の国)で重要なポジションに着くことが決まっているからだ。
異動自体は素晴らしいもので、そういう評価を受けている上司の下で働けたと言うことは部下にとっても幸せなことだ。
でも、彼と一緒に仕事ができるのも後2ヶ月もない。
是非とも、終わりよければ全てよし(将来また一緒に働きたいし、そういう機会があることを望んでいるけど)となるように、この貴重な時間を大事に過ごしていきたい。

L'activité [仕事]

今週はホンマよー働いた。
月曜朝のイタリアから始まって、香港、日本、US、ベルギー、フランス、スペイン、ドイツ、UKとそれぞれ1時間のテレコン。
それぞれのテレコンの前には各国20-30枚の資料を読み込んで、テレコン後はミニッツを作成して、昨日今日で40枚程の資料にまとめ上げて来週のプレゼンの準備。
しかもそれぞれのテレコンはこちら一人に対して各国2~3人という数的不利。
いや~マジでキツい一週間だった。

そしてその一週間の最後の金曜日に、午前中いっぱいをかけて社内の50人程が参加する一大ミーティングがあった。
これが何とも印象的というか疲れるというか面白いというか、まあとにかくすごかったのでちょっと長文になるだろうけど書いてみたい。

ミーティングの趣旨を一言で言うと「いかにして顧客視点にたった対応をするか、対応ができるか」というもの。
最近新しいブランドイメージを打ち出したことと、特に今所属している組織はノンオペレーショナルカンパニーなので、直接エンドカスタマーとの接点がないこともあり、特に力を入れたイベントになったのだと思う。

日本でもこういったミーティングというかセミナーに参加したことはあるが、フランスではこういったセミナーへの力の入れ具合が違う。
ちなみに、参加者50人中非フランス人は僕だけで、当然フランス語オンリー。
そしてプレゼンを聞くだけではなく、2時間近くにわたるビジネスゲームが中心。
この時点で、切羽詰まった状況がご想像頂けるかと思います(笑)

前半の1時間半は映像やプレゼン資料を使った講師の話が中心。
でも、日本と違って常に参加者と講師が意見交換しながら進めていくのがいかにもフランス。

前半の最後に、「では実際に6人の異なるお客さんの様子を見てみましょう」ということになり、映像がスクリーンに映し出される。
すると、郊外に住んでるおじいさんや、小さい子供がいる女医や、トラック運転手のお兄ちゃんがそれぞれの日常の中で自分が日々感じていることを、時には愚痴っぽく時にはヒステリックに時には楽しそうに語っている。
またこの映像が映画みたいなクオリティ。

6人それぞれの紹介が終わると、音楽とともに彼らがパリの街でそれぞれの生活の中ですれ違う様子が移った瞬間、爆発音とともに暗転。
で、前半終了。

正直この時点で僕の頭にはパパパパパッとはてなマークが点灯。
講師の説明するフランス語は何となくわかるが、一般のお客さんがまくし立ててるフランス語は全然ついて行けないので、ビデオの意味するところがさっぱりわからん。

で、休憩を挟んで始まったのが、ビジネスゲーム。

6つ程あるテーブルにそれぞれの顧客の情報がバラバラにファイルで配られ、後から理解したところによると、どうやら現在それぞれの顧客がトラブルを抱えていて、それを散在する情報をお互い交換しながら如何に満足度の高いサービス・コミュニケーションが取れるかと言うことらしい。たぶん。

で、机の上には電話がセットされ、どうやら顧客と電話で応対もしなければならないらしい。
その時点で「電話って、実際誰がかけてるんやろ?顧客役の社員が外で待機してるんか?」それ以前に、ファイルにびっしり書かれたフランス語の情報がよーわからん。

まあ、しゃあないか。みんなの様子でも見ながら過ごそうかな。・・・なんて思ったのが甘かった。
なぜなら行動は2人1組で、しかもフランス人はこういうビジネスゲームでも開始即めちゃくちゃ真剣にめちゃくちゃ積極的に参加するからだ。

ペアになったフランス人はこっちがフランス語がかなり厳しいことには全然お構いなくフランス語でガンガン討論してきて、意見を聞いてくる。
こっちもせっかくなのでちょっとでも役に立とうと拙いフランス語で意見を言うのだが、彼の期待値には沿っていないようですごいがっかりされる。これ、マジ凹みます。

そうこうするうちに、電話が鳴って、どうやら担当の顧客かららしい。
たまたまペアのフランス人が席を外していたので、仕方なく出ると、よーわからんがヒステリックに怒ってる。
なんかよくわからんなりに対応したところ、「何でもいいけど、早くしてよね、早く!」みたいに言われて電話を切られ、それを戻ってきたペアの相手に伝えると、「それ対応がまずかったんじゃないか、マジでまずいなそれは、ったく」みたいな感じで真剣に言われ、めちゃくちゃ凹む。
ていうか、個人的にはむしろフランス語のキャパを考慮してもめちゃくちゃ善戦してたと思うんやけど。

で、ここから面白いのが、「よし、お客さんに手紙を書こう」と相方が言い出して、白紙のノートに手紙を書き出した。
で、金融機関という設定だったので、「少しでも早く支払いをしてあげよう」と同じく白紙のノートにボールペンで小切手を書き出した。
いや、そんなソリューションありかよ!と思ってたらさらに、「大事なお客さんなんで、手続きの際の手数料を今回はこっち負担にして誠意を見せよう」とまた白紙に書き出した。
この時点でいろんな意味でバババババッとから中からはてなマークが飛び出す。
でも、これが実は正しい対応だったらしい。わかるか!

テンションとカルチャーとルールと法規制と、全てが違いすぎてその場の対応では全くついていけまへん。
でも、後から思うにそういう違いを肌で感じられたのはすごいいい経験だったけど。

で、いろいろやりとりした結果、終盤にさしかかると、なんとビデオに出てた俳優が実際の顧客として部屋に来店。
しかも怒ってる顧客は怒ってるし、演技とは思えない勢いだ。

で、最終的に2時間近くのビジネスゲームが終わって、結果採点となった。
またこの結果採点が日本と全然違う。
日本だとサービスの質というと、期限厳守や迅速な対応を思い浮かべるし、こういうゲームの評価は期限内に対応できたかできなかったかというのが焦点になるはずだ。
でも、ここはフランス。
採点方法は、顧客を熱演した(というかまだ熱演してる)俳優陣が、顧客としてこちらからのコミュニケーションをどう感じたかが基準となる。
つまり、結局成果物は何も得らてなくても、それまでのコミュニケーションが心地よければ合格で、そうでなければ不合格となるのだ。
正直、え、なにそれ?と思ったが、フランスは何をするにしてもネゴと会話の文化、1年住んだ今なら理解はできる・・・けど、あまりに背景や前提条件が日本と違いすぎて、最後の最後までいまいちついて行ききれなかったけど。

その後締めがあった後に、なぜか部屋を出る際には全員に記念のショコラが贈呈された。
ほんと、何かあるたびにショコラが配られるのがこれまたおフランス。

全て終わった後に、係の人が来て「あなた途中でだれかと英語で話してたでしょ?もしよければどうぞ」と今日の全ての説明の英語版資料を渡してくれた。
って、最初に渡さな意味ないやんけ!!とすごい勢いで突っ込みかけたけど、「あ、メルシー」と言って頭を下げといた。
いやはや、なんともジャパニーズ。

思考のフレームワーク [仕事]

正直ちょっと腹が立ったというか、失望したというか、なんなんでしょ。
今日は朝から、新しく立ち上げようとしているProjectに関してフランスの現地法人(今働いている組織はホールディングカンパニーのような形式となっており、ノンオペレーショナルカンパニーであって、フランスの営業会社は別にある)に昼過ぎまで居た。
Projectのキーとなる項目について社内の専門家から説明を受けていたのだが、2時間半に渡るプレゼンとその資料がフランス語のみ・・・。 
とはいえ自分がProject Managerなので、そんな中でも何かしら成果を上げて進めていかなければならない。
何とか話をつけて自分のデスクに戻ってきたのが3時前だった。
そこか今度はベルギーと1時間のテレコンをしてProject背景、趣旨、してもらいたい作業を説明。
かなり声の渋いマネージャーだったが、冗談も言い合いながらなんとか和やかなムードで電話を終えた。

で、後は午前中のミーティングのサマリーを作って送ろうと思っているところに日本からメールが。
「今社内で専業主婦に対するアプローチを考えていて、もしグループの他の国に参考事例があれば何でも教えてください。」(もちろん業務に関することなので質問自体大幅に変えています)とのこと。

これは一番やってはいけない情報収集のアプローチだな。

まず、課題や困難を共有しているであろう人に聞くに当たって、あまりにもロジカルさにかける質問内容だ。
そもそも、課題(英語で言うとイシュー)とは何かということへの理解に欠けている。

イシューとは何か。
それは、認識している現状とあるべき姿の乖離、すなわちギャップな訳だ。
ギャップがあるからそれを改善したいと思うわけで、そもそも現状もあるべき姿もわからないのであればイシューは生じない。

それがわかると、自ずからブレイクダウンされた項目が生じてくる。
つまり、何に対してそのギャップを感じてるの?ということ。

対専業主婦なのであれば、今の顧客ポートフォリオの中で専業主婦層が10%を占めているけれど、競合他社を見ると20%程度になっている、だとか、主婦層の契約継続率が○○に比べて低い、だとか、クロスセル・アップセルがうまくいかない、だとか、営業チャネルがうまく主婦層にコンタクトできないだとか、何かあるはずだ。

「現在専業主婦層は○○という状況にありますが、マーケットをみると競合他社は××となっています。
さらにその主な原因は契約獲得後の継続率にあると分析したのですが、他国で専業主婦層の継続率向上のために取っている施策はありませんか?」

最低でもこれくらいの踏み込みをしない限り、有益な情報が集められるはずもない。
どころか、誰かが親切にも専業主婦層のインターネットを活用した販売施策を送ってくれた挙げ句に、「あ、インターネットの活用率は十分で、主な課題は契約継続率のようです。」みたいなやりとりが生じること異なる。

そうすると、好意で対応してくれた相手も、「だったら最初から言えよ。」と気を悪くすること間違いない。
それ以前に、ほとんどの人は「といっても、今の日本のビジネスモデルが分からないから、こういう情報あげても無駄になるかもしれないし・・・。」と思って結局返事をするのを忘れてしまうだろう。

こちらに来て最近特に思うが、本当に日本はこういう「思考のフレームワーク不足」が目立つ。
なぜ?どうして?を自問自答する前に進めてしまう傾向があるのではないか。
そもそも、イシュー解決に際して「何でもいいからこれについて情報を欲しい」と言っている時点で「何が課題なのか分かっていません」と暴露しているのと同じと言うことに気づかないといけない。

こちらに来て最も悩ましいのは、直属の上司であるディレクターとすら、1週間に1時間のミーティングを確保するのが大変だということ。
その一方で現時点でも3つのProjectで延べ30ヵ国以上とやりとりをしている中で、しかも各国を集めての2日間のプレゼンを控えていたりして、課題山盛り状態な訳だ。

でも、週に1時間を最大限活用するためには、限界まで自問自答を繰り返して、自分の本当の課題は何なんだということを考え抜かないといけない。
しかも、上に書いたとおり「最終的にこれが課題です。でもどうしていいか分からないので何でもいいからアドバイスをください。」とは言えない。
つまり、「最終的にこれが課題で、こう考えたからこういう解決を図りたいのですが、いいですか?」という聞き方をしないといけない訳だ。

上司も日本ほど「そうだよね、大変だよねえ。でもまあやらなしゃないから・・・。」みたいな人はいない。
「じゃあその“思考のフレームワーク”を今10分でプレゼンして。」とよく言われる。
そこでうまく伝えきれないと、「悪いがポイントが分からないから、もう少し整理してきて。」と1週間先延ばしになってしまう。
こうなるケースも少なくないのだが、そうなるとこっちは各国とのやりとりに1週間の作業遅延が生じるからシャレにならん。

そういうことを繰り返している間に、「課題を煮詰める」「仮説を常に述べる」「如何に一見で課題を理解できる資料にするか」(もちろん詳細情報も必要だけれどそれらは基本的にAppendix)を朝から晩まで考えるようになってきた。

これが今のところ、フランスに来たことの一番の成果かな。
課題を煮詰めるには、ギャップを認識するためにある一定のベンチマーク(マクロ経済状況、競合他社、時には他業界が何をしているか、国による差異)に興味がいくし、数字も自然に覚えてくる。

日本はメリットもあるのだが、「いつでもミーティングができる」「言葉にしなくてもなんとなく共有できてる」「言わんでも誰かがやってくれる」というある意味素晴らしい職場環境がそういう思考の醸成を阻害している気がしてならない。

明日と来週は、そんな仕事の山場が続々とくるなあ。
でも、11ヶ月経って、やっとそのいくつかが気が滅入るほど憂鬱ではなくて、待ち遠しいと思えるようになってきた。
と同時に、うまくいったときに自分へのご褒美に買うワインが微妙に値段アップしてきているのだが・・・汗

Seasonal Work [仕事]

今の仕事は少し季節労働に近い。
というのも、グループレベル各ボードミーティングが近づいてくるにつれ、それに向けたレポート等が必要となるからだ。
しかも、各国のスケジュールを調整すると、どうしても年始や夏期休暇を避けた時期にそういった重要ミーティングがひしめくことになり、結果9月から2月頃が忙しさのピークとなる。

実際、今現在で僕自身3つのプロジェクトで述べ30ヵ国以上と相対しており(もちろん重複あり)、かなりスケジュールが詰まってきた。
でも、不思議と暇なときよりもこういった状況の方が毎日が楽しい。
30年弱を日本人の中だけで過ごしてきたのと比べると、毎日違う国の違う人と電話したりミーティングしたりするのはかなり刺激的だからだ。

朝はオーストラリアやアジア各国、昼はヨーロッパ各国、夜はアメリカといった時差に応じていろんな国々と接することができるのは、緊張感があると同時にすごく楽しい。
グループレベルでのProject Managerを経験して約10ヵ月が経過し、そこそこ各国の相対部門から認知されてきたことも大きい。

やっぱり人と人とのつながりが人生をより意味のあるものにしてくれるなあと感じる今日この頃、1年ぶりに12月の下旬から1月頭にかけて一時帰国するべく飛行機の予約を取った。
できる限りいろいろな人に会いたいので、皆さんよろしくお願い致します。

何事も時には辛口を [仕事]

先週は久々にきつかった。
フランスではあり得ない、22時過ぎまで残業した日もあったし。
日本ではそれほど特別でもなかったけど、フランスでこれをやるのは結構怖い。
というのは、オフィスの中で完全に一人になるからだ。
夜の学校と同じく、誰もいないオフィスで一人仕事をするのは効率的な反面、ちょっと寂しいな。

忙しかった理由は、まさにキックオフしようとしているプロジェクトの準備が佳境を迎えているから。
各国をまとめるGroup Projectも、3つめを立ち上げるに当たってようやくその要諦がわかってきた。

現地でより実務的なプロジェクトを運営するのも決して簡単ではないが、こういうグループレベルでのProject Managementの難しさは、各国の多様性をいかに組み入れてどういう成果物を残すかという点、つまり事前の準備期間に相当試行錯誤することになることに起因する。

通常、問題解決型Projectは、

背景およぶ事実に基づいた課題の把握(課題認識)→仮説の策定およびその検証(市場分析、競合分析、将来的な収益見込みの推測含む)→実務面への落とし込み→オペレーショナルなProject Managementへ

という順序で考えていくわけだが、これが商品も違う、規制や税制も違う、チャネルも違う、各国での市場シェアも違うという10数カ国をまとめて一つの方向性を打ち出して、それをグループの指針にしていくのには全く違う順序を辿らざるを得ない。

まず何より違うのが、いわゆる現時点での詳細なデータやそれに基づいて立てた仮説の検証をするためのデータがそう簡単入手できないと言うこと。
当然細かいデータ、例えば顧客が商品を解約した際の理由別占率等、そういった詳細なデータになるとドイツの現地法人の代理店チャネルのそれがどうであるかなど、ドイツの実務担当者に聞かなければ把握できない。
しかしながら、グループのプロジェクトマネージャーといえども、何をするかを決まっていない段階で分析のためだけに各国の現業の時間を割いてデータ収集を依頼することは簡単ではない。

そうなると、まずは入手できる範囲の事実に基づいて、大枠としてのプロジェクトのコンセプトを各国の役員レベルに簡単に(パワーポイントならスライド数枚)で説明した上で合意を得て、Projectの開始および各国におけるメンバー選定を依頼し、その後各担当者に改めてコンセプトの説明と情報提供のためのテンプレートを送付という流れになる。
そして各国からの情報をまとめた上で、こちら側も業界内外の参考事例やグループ戦略やマーケティング理論から見たあるべき将来の姿を準備し、各国の参加者が参加するワークショップの開催となる。

各国の担当者へ情報提供のために送付する資料やメールを持って、彼らの視点からすると初めてProjectに触れるわけだが、このやりとりも相当気をつかう。

一番気をつかうのは、収集する情報の精度と各国の多様性を見過ごさないためのフレキシビリティの確保のバランスだ。
情報やデータの精度を詰めすぎると、各国にとっては言われたままに数字を埋めるだけの非生産的な仕事になるし、フレキシビリティを確保しすぎると集めた後に「で、何がしたいの?」という問題と格闘することになる。

ここで一番役に立つのは、やはりわかりやすいフレームワークの構築だ。
ぼんやりとしたコンセプトを、まずは要素に分解し、それぞれの要素をストーリーでつなげる。
つなげた後は、それを一発でビジュアル化できるようなイメージ図を作り上げ、以降そのイメージ図のどこの分でどのような情報が欲しいかを常に示しながらコミュニケーションをしていく。
この段階が最初のハードルだ。

これを超えると、少し楽になる。
後は、各個別要素ごとに各論を展開していけばいいからだ。
ただ、そこでも同じような考え方、つまり要素ごとに外観のイメージを定め、さらなる小要素へポイントを分類していくという作業になる。
ここでの問題は、どのレベルまで掘り下げるかということ。
それを決めるためには、常にProject全体のObjective(目的)が何か、そして今考えているポイントがどのように全体の目的に合致するのか、しないのかということを繰り返し自問していくこととなる。

そんなまさに立ち上げ時の産みの苦しみを味わいながら、毎日資料を数十枚作ってはその大半を捨て、また作っては捨てという作業を1週間繰り返してきた。
でも、こういった作業時に何よりモチベーションになるのは、上司の明確な指示だ。

実務に入り込んで、自分の考えを数十枚にまとめていったん作り上げると、心の奥底では少しスカッとしない部分があっても「まあ、悪くはないし。」という気分でそのままミーティングにいったりしてしまうのだが、そういった時は必ず上司から「この項目、今ここでプレゼンしてみて。」などと言われ、明瞭ではないプレゼンになってしまうと容赦なく「でしょ。このパートはやり直そう。」と言われる。
日本人同士だと、夜通しやってきた資料を見せられると「おお、がんばったね。」と言ってしまい(言うこと自体はもちろん悪くない)、その後の議論が多少甘めになってしまったりしやすいと思うのだが、そういうところがないのがむしろ心地いい。

休日まで費やした部分が一瞬に消え去ったとしても、「この部分のポイントはここだから、こんな風にした方がもっと伝わるんじゃないか?」と具体的に指示があると、モチベーションの低下にはならないし、むしろ「なるほどなぁ!」とやる気が出る。
こういうことがある度に、やっぱり上司は部下よりも優秀であるべきだし、物事を違う目線(マネジメントの目線)で見れないとダメだと痛感する。
日本企業はここが決定的に弱く、マネジメントリテラシーが欠如した管理職が多いのが喫緊の課題だろう。


話は変わって、辛口というと、パリにいると辛い料理への渇望も芽生えてくる。
フランス料理には辛いという味覚が無く、久々に刺激を求めてパリにあるタイ料理や中華料理のレストランに行ってみても、すっかりフランス化してしまった甘ったるい味にがっかりしてしまうことばかり。

しかし、ついに見つけました、本気で激辛の料理を出す湖南料理のお店。

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L'Orient d'Or



実は2ヶ月ほど前まで同じ部署で働いていた中国人のスタージュ(インターン)に教えてもらった店だけど、彼女曰くパリで一番本場の味を食べれられるお店だそう。
既に3回ほど言ったのだが、確かにおいしいし、辛い料理はとことん辛い!!

昨日は超激辛のスープの中に魚の切り身が入った料理を頼んだのだが、これが信じられない辛さで、食ってる最中に既に意識が遠のくような気分だった。

それが、これ。

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この牛モツの辛子炒めも辛い!

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周りはほぼ全員中国人だったけど、みんな同じ料理を普通に会話しながら食べてるのがまたすごい。

そういえば、そのスタージュの彼女、インターンが終わる前に「大学出たらどこで働くの?」と聞いたら、「結局兄と一緒に洋服の店を起業することにしました。」とのこと。
何でも最近もパリに来ていろんなブランドから買い付けをしているらしい。

さすがパワーあるなあ・・・日本人もがんばらんと。

プレゼンテーション [仕事]

月曜日のプレゼンは、おかげさまで(?)、自分なりにもうまくいったと思う。
最終的にグループ本社の各戦略部門から40名に出席して頂き、なかなかの規模となった。

前日は同僚から「どう、緊張してる?」といった質問も受けたが、正直当日は全くといっていいほど緊張しなかった。
スクリーンを背に見渡してみると、“大物”の顔もチラホラ見受けられたが、意外なほど落ち着いていた。

理由は二つ。
一つは、歯痛のための抗生物質を朝も飲んでおり、ちょっとボーッとしてたから(あかんがな)。
二つ目は、英語だから。
今回はフランス人以外の出席者もいたのではなから英語で準備していたが、冒頭上司から真剣な顔で「どっちでやるの?フランス語の方がいいと思うけど」とムチャ振りされて一瞬焦ったけど。
でも、「今日はフランス語で準備していなくて・・・でも、なぜだかわからないけどどうしても今日は英語でやりたい気分なんです。」ってフランス語で笑いをとってみた。
・・・まあ、多少は進歩してるか?
英語でやる方が緊張するのでは?と僕自身も思っていたが、実際にやってみると「どうせ母国語じゃないから詳細な部分は伝えきれないし。」という割り切りがうまく働く気がする。

でもこのプレゼンの準備を1時間ほど上司と行ったのだが、その進め方も日本とは全く違うスタイルでいい経験になった。

まず、実際プレゼンする資料については全然話し合いをしなかったこと。
僕から「まずこのスライドで・・・」と話を始めると、「詳細は任せてるからいいよ。それよりも全体の構成とプレゼンのスタイルを認識あわせしよう。」とのこと。

もちろんまずはAgenda、そしてKey Objectiveは何か、Key Messageは何に焦点を当てるのか。
その上で、後半のDiscussionのポイントを簡潔に絞り、最後のNext Stepsをどう用意するか。
日本人はとにかくまず当日のプレゼン資料の内容チェックから入りがちだが(ここで“てにをは”のチェックとかされると、思いっきり萎える)、「内容は任せた。で、全体の構成は?」と来られると、内容についての責任も改めて感じつつも鳥瞰的な視点を意識させてくれる気がする。

その後大枠を固めたあと上司から受けた話は、詳細な内容でも役割分担でもなかった。
おもむろにホワイトボードに円を描いて、縦横の線でそれを四等分し、「これが右脳と左脳とその上部と下部だ。左脳は論理的な数字や論拠に基づいた思考を司り、右脳はよりエモーショナルなひらめきを担当している。今回の出席者を脳の働きでみると、それぞれどの部分が突出していると思う?」と聞かれた。

つまり、出席者の思考系統にあわせて、それに適したプレゼンスタイルと資料準備があり、それは内容と同じくらい重要だということだったわけだ。
身振り手振りの方法、歩き方、声のトーン。
はたまたパワーポイントの見せ方、同時に紙の資料をどのように準備してどのタイミングで配るか。
そういうことを、おそらく心理学的な視点から捉えて実践しようというわけだ。

これには驚いた。
いや、内容そのものは正直聞きかじったこともあったのでそれほど驚かなかったが、それよりも驚いたのは上司であるフランス人の、こういった心理学やMBA的な学問に対する真摯な態度だ。
日本では、マーケティングにおいても、何かが起こった後に結果論的に「確かに最新のマーケティング理論によると、こういう傾向ははっきりと見て取れます。」と言うことはあるが、実際の業務やプロジェクトマネジメントに最新のフレームワークや理論を取り入れようとする姿勢は少ない。
むしろ、所詮机上の理論という思いが先行しがちだが、最近思うにこういう姿勢が欧米では少し違う。
もちろん、同じような反応は誰しも持っているが、とはいえ使ってみようという真摯な、愚直な姿勢もあるのだ。

別にこれは優劣の話をしたいわけではない。
どっちがいいとは言わないが、でもこの違いを肌で感じる日々は今後のビジネス人生にとっては有意義だなあと思った訳だ。

でも、ミーティングが終わった後にみんなが会うたびに、まずは"Congraturlations!"といって握手してくれるのは、日本よりもいいなあ。

狭間 [仕事]

最近かなりお疲れ気味。
まあ海外に来て半年経って、仕事もプライベートも慣れてきたと同時に来た当初の高揚感から現実への直面にモードが切り替わってきて、徐々に壁を感じてきてもがきだしている、そんな感じ。

これはNHKビジネス英会話のコラムの受け売りだが、異文化に適応していく状態はU字カーブで説明できるらしい。

第1ステージ 旅行者的段階--> 異文化の食べ物は美味しく、人々は親切で楽しい
第2ステージ 異文化否定段階--> その土地で暮らしてみると、買い物ひとつとっても大変で孤独になる。体調も悪い。
第3ステージ 開き直り段階--> 徐々に慣れ、友達も出来た。適応できている自分が好きだ。
第4ステージ 適応段階--> もうすぐ帰国するが、やっと慣れてきたし、心地よくなってきたこの文化にもう少し触れていたい。

これは仕事で使う語学の習熟度にも当てはまるらしい。

全くもってよく分かる例えで、今はまさに第2ステージ真っ直中という感じだ。
来た当初は、今まで経験したことのないインターナショナルな仕事に燃えていたし、周りも部門内唯一のアジア人と言うことで興味津々に接してくれた。
そうこうしていくうちに、仕事にも慣れてくると、今度はフランス人のProject Managerと同じ仕事で競い合わねばならず、どうしても語学面の不利さ(英語、フランス語両方)を痛感するようになってきた。
職場の同僚は、欲しい情報があれば社内を駆け回ってフランス語で会話して問題解決が出来るが、こっちはそうはいかない。
世界的な企業とはいえ、本社約600人中非フランス人の駐在員は40人程度、さらにフランス語英語ともに母国語ではないのはおそらく数人しかいない。
最初はその希少性と、その状況でProject Managerをしていることへの喜びが圧倒的に勝っていたが、時間が経つにつれて厳しい現実を感じるようになってきたわけだ。
加えて、昨年から今までの人生の中でも経験したことがないほど体調が悪く、全くベストコンディションになれない。
実は体調面が一番のストレス要因になっている。

そんな状況が続いて、正直ここ数週間の凹み具合は半端ではなかった。
これまで相当キツい状況でもストレスを感じることはなかった、いや正確に言うとそのストレスがモチベーションという反作用を生んで来たのだが、今回は相殺しきれないんじゃないかと思うことが何度かあった。

でも今日、ここ半年取り組んできた二つのProjectについて、成果物を一気に延べ35カ国に配信して帰ってきた。
正直詰め切れてないこともあったが、この辺で一回区切りを設けるのがProjectにとっても自分自身にとっても必要不可欠だと思ったからだ。
しかし、資料の多さを競うほど無意味なことはないが、それでも併せてPowerPoint 500枚は下らない大作だ。
自分なりに満足のいく結論と方向性も盛り込めたので、少しはすっきり出来た。

ここまでこれたのも、一重にフランス人上司のおかげ。
彼は常に勇気づけてくれるし、決して些末なレベルの確認はせず、常に大きな方向性を指し示してくれる。
今の上司の下で仕事が出来ているのが、何よりの勉強と経験になるだろう。

明日からは各国との対応がまた増えていくだろう。
自分がまとめた方向性で、それぞれの国がローカルのProjectを立ち上げていかなければならないので、責任重大だ。
それに併せて、来月は各国の役員とのビデオカンファレンスや、パリの本社での1時間半にわたる単独プレゼンなど、やることは多い。

でも、来月さえ乗り越えれば後は楽しいヴァカンスが。
何して過ごすか、それも早く決めないと。

仕事@home [仕事]

フランス版ゴールデンウィークとも言える5連休も明日まで。
でも、今日は一日家にこもって仕事をしていた。

子供たちが可愛い盛りでもあり、天気も素晴らしい快晴であり、外に出て散歩でもしたい気分だったが、やることがたまっていたのでそこは我慢。
日本にいる時も休日のうち片方は現業+α の仕事をしたり、本を読んだり、後学のために他業界の分析をしたりといった具合に半仕事半勉強に充てることも多かったが、ここ最近パリで休日を片方当てるのは単に平日の仕事がこなしきれてないだけだったりする。
幸か不幸か、家からでも会社と全く遜色なくメールやイントラを利用できるという環境はあるが、いくら英語やフランス語で仕事をしているとはいえ、Business dayで仕事をこなしきれていないというのはダメだ。
くそー、なんか知らんけど屈辱感を感じるな。

ただ、先週同僚のフランス人マネージャーとその子供を家に夕食に招待したのだが、彼女も土日に働いているのを聞いて、「ああ、みんなやっぱり最近は業務過多になっているんだなぁ。」と思ったり。

最近分かってきたのだが、フランス社会の中の階級意識や学歴重視というのは意外かもしれないが日本の比ではない。
会社で働く人も、社会階級としてもエリートは学歴からして一般人とは別格であり、日本では考えられないほどの壁が一般人の間には存在している。
一般的に、フランス人は仕事が嫌いで働かないというのは間違いではないが、エリート層は身を粉にして日本人以上に働いているのが実情だ。
そしてそのエリート層に至るまでの過程には日本の受験とは比べ物にならないような壮絶な選別を経なければならない。
詳しくはもう少し正確に理解してからにするが・・・。
まあ、それと比べると日本の「学歴社会」や「格差社会」というのはたかが知れてるなあ、なんて思ってしまう。
正直、平等を期すために面接で出身大学を聞かないというような近年聞こえてくる採用のあり方など、公平の意味を履き違えた愚の骨頂だと思う。

もちろん、フランスもその弊害として一流企業の経営者や政治家がみんな特定大学のクラスメートといったような問題も多いようだ。

海外で生活をすると、いろんなところで日本の常識が世界の非常識であることに気付き始める。

マンションの内覧会でフローリングに少しでもひっかき傷があれば張り替えまでしてくれる国は日本だけだろうし、コンビニエンスストアもフランス人に説明するのは大変だ。
24時間やっているジーンズメイトなんて、説明しても「なんで夜中3時にジーパン買う必要があるの?」と言われると答えられないし・・・。
コーヒーにしてもブルーマウンテンが高級だと思っているのは日本人だけだし(というか、ブルーマウンテンは95%が日本への輸出であり、まさに日本限定品で世界的な認知度はゼロ)、家族で同じ寝室で寝るということだけでも多くのフランス人からびっくりされる(こちらでは乳児でも個室をあてがって、夜は泣いてもほったらかし。どんな小さな子供でも夫婦の寝室にはいかなる場合も立ち入り禁止という人も多い)。

世界は広くて多様性に富んでいるのだ。

なんて思っていたら、渡仏前に買った2台のVAIOのうちのType Tが突然BluetoothとFeliCaポートを認識しなくなった。
仕事をしなければと思っている時に限ってPCの調子が悪くなってリカバリに時間がかかるのはマーフィーの法則ではあるが、ここはパリ、ちょっと困った。
覚悟をきめてシステムリカバリをしてみるものの、以前認識せず。

FeloCaポートはいいけど、Bluetoothはマウスを接続しているだけに不便だ。

ああ、困ったのー。
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